こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
マウスピース型矯正装置による治療(当院ではインビザラインを採用)に限らず、矯正治療では治療前に親知らずを抜くケースが多いです。親知らずを放置すると、矯正治療を妨げる原因になり得ます。
今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で親知らずを抜くケース、抜かなくてもよいケース、抜くことのメリットなどを解説します。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
親知らずとは?
親知らずは、第二大臼歯の後ろに生える3番目の大臼歯のことです。正式名称は第三大臼歯で、ほかの歯とは異なり、生える人と生えない人がいます。
親知らずが生える時期は、20歳前後が多いです。第二大臼歯が生えるのは12歳頃なので、非常に遅れて生える歯といえます。
最大上下左右に1本ずつ生えますが、1本も生えない方もいれば、2~3本だけ生える方もいます。
親知らずの生え方
親知らずは、顎の奥のスペースが狭いところに生えるため、真っ直ぐに生えることは少ないです。歯茎の中に完全に埋まっていることもあります。レントゲン写真を撮らないと、親知らずがあることすら気づかない場合も珍しくありません。
ほかの歯と同様に真っ直ぐに生えている場合は、あまり大きな問題はないことが多いです。完全に歯茎の中に埋まっていて痛みなどの症状がない場合も、健康的な問題はありません。
歯茎に半分埋まっている、斜めや横向きに生えている場合などは、磨き残しが生じやすいでしょう。虫歯や歯周病のリスクが高まる場合や、歯並びに悪影響を及ぼす場合などがあるため、注意しなければなりません。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療で親知らずを抜くケース
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の治療を進めるうえでは、親知らずは抜くケースが多いです。健康的な問題がなくても、親知らずが歯の移動を妨げる可能性がある場合は抜いたほうがよいでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療で親知らずを抜くケースは、以下のとおりです。
斜めや横向きに生えている
親知らずが斜めや横向きに生えている場合、歯並びに悪影響を与えるため抜く必要があります。曲がって生えた親知らずは隣の歯を押すため、歯並びを崩す原因になるのです。歯茎の中に完全に埋まっていても、曲がって生えている場合は歯茎の中で隣の歯を圧迫します。
レントゲン写真で親知らずの状態を確認し、斜めや横向きに生えている場合は抜くことが多いでしょう。
虫歯や歯周病になっている
親知らずが虫歯や歯周病になっている場合、隣の歯に悪影響を与えるため抜きます。
歯茎に半分覆われている状態や、斜め・横向きに生えた状態では、うまく歯ブラシが当たりません。汚れが溜まりやすいので、虫歯や歯周病になりやすいです。
特に日本人は顎が小さく、親知らずが真っ直ぐ正常に生えてくるケースが少ないため、抜くことが多いでしょう。
親知らずが虫歯や歯周病などのトラブルを抱えていると、隣の第二大臼歯に悪影響を与えます。
矯正治療で歯を後方に移動させる必要がある
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で奥歯を後方に移動させる場合は、親知らずを抜かなければならないでしょう。歯をきれいに並べるためのスペースが足りないときは、奥歯を後方に移動させてスペースを確保します。
親知らずがあることで歯を後方に動かせない場合、抜く必要があるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療で親知らずを抜かなくてもよいケース
親知らずを抜かなくてもよいケースは、以下のとおりです。
IPRで歯を並べるスペースを確保できる
IPRとは、歯と歯の間を少しずつ削ってスペースを作る方法です。IPRで歯を並べるスペースを確保できる場合は、親知らずを抜かなくてもよいでしょう。
ただし、IPRですべての歯を削っても、5mm程度しかスペースを作れません。IPRは歯に影響がない範囲で行うため、大幅に削ることはできないのです。
奥歯の後方移動が必要ない
親知らずが通常の歯のように真っ直ぐ生えていて問題がなく、奥歯を後ろへ移動させる必要がない歯並びでは、抜かなくてもよいでしょう。
ただし、後方移動が必要ない症例は多くありません。歯を並べるスペースが十分に確保されている、すきっ歯などに限られます。
親知らずを第二大臼歯の代わりに使う
重度の虫歯や歯周病によって、第二大臼歯を長期的に使えない場合、親知らずを第二大臼歯の代わりにすることがあります。長くは使えないと予想される第二大臼歯を抜き、親知らずを第二大臼歯の代わりに並べるのです。
ただし、親知らずの形態や状態を見て判断するため、あまり症例数は多くありません。また、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)単体での治療は難しいため、ワイヤー矯正などを併用します。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療で親知らずを抜くメリット・デメリット
矯正治療を行う際に親知らずを抜くことは、メリットのほうが多いです。治療の進行だけでなく、治療後の歯並びにも大きく影響するからです。
親知らずを抜くことに、大きなデメリットはありません。歯並びだけでなく、口内の健康を守るために必要な場合が多いでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療で親知らずを抜くメリット・デメリットをご紹介します。
親知らずを抜くメリット
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療で親知らずを抜くメリットは、以下のとおりです。
よりきれいな歯並びを目指せる
親知らずを抜くことで、歯を並べるスペースを十分に確保できます。よりきれいな歯並びを目指せるでしょう。
本来抜くべき親知らずを抜かないと、うまく歯が動かず、治療が長引く可能性もあります。
矯正後の後戻りを予防できる
歯並びをきれいに整えても、親知らずが手前の歯を押して歯並びがもとに戻る可能性があります。
親知らずを抜くと手前の歯を押すことがなくなるので、後戻りするリスクを下げられるでしょう。
虫歯や歯周病のリスクが下がる
親知らずには歯ブラシが届きにくいため、汚れが溜まって虫歯になることも多いです。重度の虫歯や歯周病になると、隣の歯や歯茎にも影響を及ぼすでしょう。
親知らずを抜くことで、さまざまなリスクを下げられます。
親知らずを抜くデメリット
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療で親知らずを抜くデメリットは、以下のとおりです。
抜いたあとに痛みや腫れが生じる
親知らずを抜いたあとは、痛みや腫れを伴います。特に、斜めや横向きに生えていた親知らずや、歯茎の中に埋まっていた親知らずを抜く場合、周りの骨を削らなければなりません。痛みや腫れが生じやすいです。
痛みは痛み止めでコントロールでき、2~3日程度で落ち着きます。
大きな病院で抜かなければならない場合がある
地域にある歯科医院では治療が難しく、大学病院などの大きな病院で抜かなければならないことがあります。特に、親知らずと下顎の神経が近くにある場合には、CT撮影なども併用して慎重に治療を行う必要があるでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療で親知らずを抜くタイミング
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、矯正治療を始める前に親知らずを抜きます。親知らずがあると、計画どおりに歯が動かなくなる可能性があるからです。
マウスピースを装着するタイミングは、親知らずを抜いてから1週間以上経ってからが望ましいでしょう。マウスピースを装着したばかりの頃は、違和感や多少の痛みがあります。傷がある程度落ち着いてからのほうがよいでしょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を開始するタイミングは、傷や口内の状態によって異なるため歯科医師と相談して決定してください。
まとめ
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を前に、親知らずを抜くことが多いです。
奥歯を後ろに動かして歯を並べるスペースを確保できる、親知らずが手前の歯を押して歯並びが悪化することを防げる、虫歯や歯周病のリスクを下げられるなど、親知らずを抜くメリットは多いです。
親知らずを抜くことに不安がある方は、事前に歯科医師とよく相談しましょう。
マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。