コラム

2024.06.21

乳歯から永久歯 生え変わり時の注意点

歯の生え変わり時期の少女

今回は、乳歯が生えてきた後に永久歯に生え変わる時に注意する点についてお話していきます。

歯は、生まれてから生後6か月頃以降ぐらいに、下の前歯の乳歯(乳中切歯)が生え始めます。その後、生後10か月頃以降に、上の前歯の乳歯(乳中切歯)が生えます。

さらに1歳頃になると、上と下の前歯の横の歯(乳側切歯)が生えてきて上と下合わせて合計8本の乳歯が生えます。1歳半頃に、最初の奥歯となる(第一乳臼歯)が生え、2歳頃になると、前歯と最初の奥歯との間の(乳犬歯)が生え、2歳半頃に最後の乳歯となる一番奥の(第2乳臼歯)が生えます。2歳半頃に全部の乳歯が生え揃い乳歯の数は全部で20本になります。永久歯は、六歳頃にまず六歳臼歯といわれる乳歯の一番奥の歯の後ろに最初の永久歯が生えます。その後、下の前歯、上の前歯と前から順番に永久歯に生え変わっていきます。この年齢は、あくまでも目安なので多少の年齢の差は問題ありませんし、生えてくる乳歯や永久歯の順番が違う場合もあります。

乳歯と永久歯の違い

笑顔の女性

乳歯と永久歯の一番の違いは、「丈夫さ」です。なぜ、永久歯が丈夫なのかというと、乳歯は、生後六か月ぐらいから生え始め、全ての乳歯が永久歯に生え変わるのは、11歳~14歳ぐらいまでなのでおよそ14年ほどですが、永久歯は、その後何十年も一生使っていきます。健康な歯や歯茎であれば80歳をすぎてもご自身の歯が残っているかたも多いです。乳歯から永久歯に生え変わっているときは、混合歯列(乳歯と永久歯)といいますが、歯をよく見ると、乳歯は白く、永久歯は少し黄色いです。この色の違いは、歯のエナメル質と象牙質の厚みの違いなのです。歯の根っこの長さも、乳歯は短く、永久歯は長いのも一生使っていくうえでの特徴です。歯の本数も、乳歯は全部で20本なのにたいして、永久歯は32本(親知らず4本含む)なのも、乳歯と永久歯の大きな違いになります。

六歳臼歯(ろくさいきゅうし)とは

六歳臼歯イメージ

六歳臼歯とは、一番最初に生えてくる永久歯で、年齢にするとおよそ5歳~6歳頃に、乳歯の一番奥の歯の後ろに生えてきます。奥歯の後ろから少しづつ生えてくるため、毎日仕上げ磨きをしていても最初は気づかないこともあります。とくに、上の六歳臼歯の場合は、覗き込んでも奥歯の乳歯に隠れてしまい、歯磨きが不十分になることがあり、虫歯のリスクが高くなるので注意が必要です。また、六歳臼歯は、食べ物を噛むときに一番かみ砕く力が強く、永久歯の歯並びや嚙み合わせの「基本」になるとても重要な歯なのです。歯科医院では、六歳臼歯のことを、「第一大臼歯」と呼びます。

永久歯に生え変わる時期

前歯が抜けている子ども

永久歯は、前歯から数えて6番目に六歳臼歯(第一大臼歯)が生え、その次に下の前歯、上の前歯と前から順番に永久歯に生え変わっていきます。そのあと、およそ11歳~13歳ころに、一番奥の十二歳臼歯(第二大臼歯)が生え、親知らず以外すべての永久歯が生えそろうのは、およそ13歳~14歳ころになります。先にも話したように、この年齢は目安になります。乳歯から永久歯への生え変わりには個人で差があります。まだ小学生なのに永久歯が生えそろう方もおられますし、中学生になっても乳歯が残っている方もおられます。稀に、永久歯が元々無い先天性欠損(せんてんせいけっそん)ということもあります。生え変わりが遅く、乳歯が抜けてもその次の永久歯が生えてこないなど、気になるときは、かかりつけの歯科医院にご相談ください。

生え変わる時が一番虫歯になりやすい

虫歯のイメージ

乳歯と永久歯の生え変わりのときのお口の中は、混合歯列(こんごうしれつ)になっているため歯がデコボコし歯磨きが難しくなり、磨き残しが増えるのも虫歯になりやすい原因です。また、生えかけの永久歯は、歯の頭は歯茎から出始めて生えるまで時間が長くかかり、完全に生えるまではエナメル質が薄く弱いため、虫歯になりやすくなります。とくに、奥歯の溝が一番虫歯になりやすいので、六歳臼歯が生えそろったらかかりつけの歯科医院で定期的にフッ素塗布やシーラント(プラスチック樹脂)をして溝を埋めて虫歯になってしまう前に虫歯の予防をするのがオススメです。

生え変わりの時に多い歯肉炎とは

歯磨きをしている人

六歳臼歯(第一大臼歯)や十二歳臼歯(第二大臼歯)が、生え始めるとき、歯肉から歯が少しずつでてきます。完全に歯が生えるまで数か月かかり、その間は、歯磨きをしても歯ブラシが届きづらく磨き残しが増えます。磨き残しがあると、歯肉が炎症をおこし、萌出性歯肉炎(ほうしゅつせいしにくえん)とよばれる歯肉炎になってしまいます。萌出性歯肉炎を防ぐには、しっかりと歯磨きをする必要があります。可能ならできる限り、保護者の方が仕上げ磨きをしてあげることが大切です。

仕上げ磨きはいつまで?

仕上げ磨きをしている子ども

乳歯から永久歯に生え変わるとき、小学校にあがるころには一人で歯磨きをしているお子さんもいるかと思いますが、乳歯と永久歯がある混合歯列は、歯磨きをしても歯ブラシが届きにくい箇所があります。とくに生えかけの永久歯は虫歯になりやすいので、小学生の間は、保護者の方が仕上げ磨きをしてあげるといいでしょう。小さいころと同じように膝に頭を乗せて寝転がる体勢が一番歯も良く見えますので仕上げ磨きに最適です。高学年や中学生にもなると、仕上げ磨きができなくなってくると思いますが、自分でしっかり歯磨きが出来ているお子さんは少なく、虫歯になってしまうリスクが高くなります。時々は、しっかり磨けているか、食べかすや歯石がないかチェックしてあげてください。

乳歯から永久歯に生え変わる途中での歯並び

生え変わり時期の子どもの歯並び

 

乳歯から永久歯に生え変わるときに、永久歯の生え方が気になったことはありませんか?

例えば、

・乳歯が抜けていないのに後ろから永久歯が生えてきた。
・永久歯が生えてきたけど歯が斜めになっている。
・乳歯が抜けたあと永久歯がでてこない。
・乳歯が虫歯になって早くに抜けた。(転倒などで前歯が早々に抜けた など)

生え変わりのときは、お口の中の変化が激しく、自然に生え変わっても永久歯の並びがガタガタになることがあります。乳歯がまだ抜けていないのに永久歯がその後ろから生えてきてしまうと、その乳歯を抜いても歯並びと嚙み合わせは治りません。永久歯が先天性で無い場合は、いかに乳歯を長く使用するかになってきます。いずれの場合も、歯科医院での診察と治療が必要です。かかりつけの歯科医院、または、当院にお気軽にご相談ください。