コラム

2024.10.30

清涼飲料水とむし歯の関係

3種類の飲み物  

①むし歯になりやすい飲み物

むし歯になりやすい飲み物として、

・炭酸飲料
・乳酸菌飲料
・清涼飲料水
・果実100%ジュース

などが挙げられます。上記のような飲み物には、一般的に糖質が含まれています。糖質とは、炭水化物から食物繊維を取り除いたものの総称を指します。飲み物に含まれている糖質は砂糖だけではなく、ブドウ糖やオリゴ糖、果糖などがあります。糖質には、糖質としてのエネルギー源の役割がありますが、むし歯菌のエサにもなってしまいます。

また、㏗という値(液体が酸性かアルカリ性かを表す尺度)が低い飲み物をたくさん摂取すると、歯が溶けやすくむし歯になるリスクが高まります。

②むし歯になりにくい飲み物

むし歯になりやすい飲み物として、

・水
・緑茶

などが挙げられます。

お水には一切糖質が含まれておらず、㏗の値も7.0と高いため、むし歯になりにくい飲み物になります。

お茶もお水と同様で、㏗は6.0と高い数値になっており、むし歯になりにくい飲み物といえるでしょう。

③清涼飲料水と虫歯の関係

・清涼飲料水の過剰摂取からむし歯になるメカリズム

砂糖がたくさん入っている清涼飲料水をたくさん摂取することで、お口の中の環境が虫歯になりやすくなってしまうことは皆様お分かりいただけるかと思います。むし歯は、お口の中のミュータンス菌といわれる菌が砂糖をエサとし、酸を作り出します。この酸が歯の表面を溶かし(脱灰だっかい)、歯に穴が開いてしまいます。お口の中は㏗6.87.0に保たれています。そこで飲食をすることでむし歯菌が働き、お口の中が酸性に傾きます。飲食が終わると、唾液の働きでお口の中が中性に戻そうとします。そして、溶けていた歯も唾液の働きで修復(再石灰化さいせっかいか)されていきます。

むし歯になりやすい状態は、お口の中が酸性に傾いているときです。

脱灰が起こる㏗の値は5.5以下と言われています。

清涼飲料水などの飲み物には、酸性のものが多くあります。

さらに砂糖も多く含まれているので、酸性の清涼飲料水を1日に頻繫に摂取しているとむし歯になるリスクが高まります。お口の中の状態が酸性である時間が長くなってしまうと、歯が脱灰(溶けること)している時間も長くなってしまうため、再石灰化(溶けた歯を唾液の働きで元に戻そうとする力)が行われず、むし歯にあってしまうリスクが高くなります。

砂糖がたくさん含まれている清涼飲料水には、むし歯になるリスクだけでなく、生活習慣病にもなる可能性があります。清涼飲料水を摂取する時は、時間・回数・摂り方に気を付けることを意識しましょう。

ランチをしている二人

④むし歯を防ぐ食べ方と飲み方

・時間を決めて飲食をする

お菓子などの食べ物をだらだらと食べていたり、糖質が含まれる飲み物をだらだら飲んでいると、お口の中が酸性に傾いている状態が続いてしまいます。お口の中が酸性に傾いている状態が続くと、むし歯になるリスクが高まります。

そして、お口の中が中性に戻るまで時間がかかります。

つまり、食べ物や飲み物に含まれる糖だけでなく、食べる回数や時間もむし歯に関係しています。

・飲食の後は歯磨きやうがいをする

何かを食べたり、糖が含まれる飲み物を摂取した後は歯を磨くようにしましょう。外出時など、歯を磨くことが難しいという方はうがいやお水・お茶を飲むことをおすすめします。

・就寝30分前は飲食を控える

就寝する前に食べたり、糖が含まれる飲み物を摂取することは控えましょう。

睡眠時は、唾液(だえき)の分泌が減少してしまいます。唾液には、酸性に傾いたお口の中を中性に戻そうとする役割があります。なので、寝る前に飲食をしてしまうとお口の中が酸性の状態が続いてしまうことになります。

就寝の30分前には、歯磨きを終わらせることを心がけてみましょう。

⑤むし歯を予防するための対策

・清涼飲料水を他の飲み物に変えてみる

普段の熱中症対策としての水分補給は、お水やお茶でも十分だと言われています。お水を飲むことで、体内の水分含入量を保つことはさまざまなメリットを生み出してくれます。身体の健康や歯の健康にとってたくさんの効果があるので、代表的な例をいくつかご紹介します。

・歯に飲料による色素がつかない
・お口の中を中性に保つことができる
・こまめな水分補給で口臭対策につながる
・むし歯菌のエサとなる糖が含まれていないため、むし歯のリスクを下げる
・基礎代謝が上がる
・体温が上がる
・ニキビなどの吹き出物ができにくくなる
・むくみの解消
・リンパの流れが良くなる
・血液がサラサラになる
・老廃物をデトックスしてくれる

⑥酸蝕歯(さんしょくし)について

酸蝕歯とは、酸性の食べ物や飲み物が歯に触れることで起こり、普段の日常生活で酸の影響を受けています。ですが、唾液の働きにより修復され、バランスが保たれています。しかし、そのバランスが崩れてしまうと酸の影響を過剰に受けて酸蝕が生じてしまいます。その酸蝕の度合いが大きいと酸蝕歯になります。

青空と歯と人の手

⑦まとめ  

暑い季節になると、冷たい清涼飲料水や炭酸水が飲みたくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。清涼飲料水や炭酸水を飲むときはだらだらと飲むのではなく、食事のときに一緒に摂取するとむし歯になるリスクが低くなります。そして、清涼飲料水や炭酸水を飲んだ後にうがいや歯磨き行うと、更に効果的なのぜひ行うことをおすすめします。

また、寝ている間はお口の中の唾液の分泌が減少します。なので、寝る前に清涼飲料水や炭酸水を飲んでしまうとお口の中が酸性に傾き、歯が溶けやすい状態になってしまいます。唾液が減少してしまうと、唾液がお口の中を中性に戻そうという働きが弱まります。お口の中を中性に保つために、寝る前に清涼飲料水や炭酸水を飲むことは控えましょう。