副鼻腔炎(蓄膿症)にかかったことがある方で、「歯が痛い」という経験をしたことがあるという方がおられるかと思います。
または、副鼻腔炎にかかると『歯が痛くなった』という話を耳にしたことはありませんか。
実は、副鼻腔炎を発症した7割の患者さんが歯の痛みを感じたという報告があります。このようなことから、副鼻腔炎(蓄膿症)が原因で歯が痛くなることは、よくある症状だといえます。
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副鼻腔炎(蓄膿症)による歯の痛みについて
・ 原因
副鼻腔炎には、上顎洞といわれる空洞があります。この上顎洞には、歯の神経が近くに通っていたり、歯が近くにあります。
そのため、副鼻腔炎(蓄膿症)の炎症が歯の神経や奥歯の根元の辺りに影響を及ぼす可能性が高く、歯の神経や歯に炎症が伝わるとむし歯では無いのに、歯に痛みを感じることがあります。
副鼻腔炎(蓄膿症)の症状が見られる患者さんの7割の方が歯の痛みを訴えたという報告も出ています。
つまり、これらのことから、副鼻腔炎で歯が痛くなることは珍しいことではないということが分かります。
・ 特徴
副鼻腔炎(蓄膿症)が原因となり、歯が痛くなるという症状には6つの特徴があります。
① 上の奥歯が痛くなる
上の奥歯の根元はとても副鼻腔炎に近い位置にあります。個人差はありますが、人によっては副鼻腔(上顎洞)の中に奥歯の根元が入り込んでいる場合もあります。それくらい近い位置にあります。そのため、副鼻腔炎による炎症が歯の根元から歯に伝わって、上の奥歯が痛くなるということが起こります。
② 複数の歯が痛くなる
むし歯の場合、一般的にはむし歯になった歯のみに痛みを感じます。
しかし、副鼻腔炎(蓄膿症)の場合は副鼻腔の近くにある歯の根元辺りの炎症がある範囲に痛みを感じます。炎症の範囲が広ければ広いほど、複数の歯に痛みが生じます。複数の歯が痛くなるという症状は珍しいというわけではありません。
③ 何もしていなくても歯が痛くなる
副鼻腔炎(蓄膿症)の炎症がひどくなってくると、食事の際に食べ物を噛んでいる時や歯を喰いしばっている時以外にも歯に痛みを感じます。
副鼻腔炎の炎症が大きければ大きい程、何もしていない時も強い痛みを感じる傾向があります。
④ 下を向くと痛みを感じる
下を向いた時、副鼻腔炎の中に溜まっている膿の場所が変わるので、副鼻腔内の圧力に変化が生じます。
一般的には下を向くことで、頭・歯・顔の神経が圧迫される傾向があるため、そのような影響で歯が痛むということになります。
⑤ 左右のどちらかの歯が痛くなる
一般的な副鼻腔炎(蓄膿症)の症状は、左右両方の副鼻腔に起こりますが、歯に痛みが出るのは片方だけ痛むことが多いと言われています。
急性副鼻腔炎(蓄膿症)の方は特に、片方の歯だけが痛むという症状が多いようです。症状には個人差がありますので、まれに両方の歯が痛むこともあります。
⑥ 痛くなる歯と痛くならない歯がある
一度治療をしたことがある歯と比べると、治療をしたことがない歯の方が痛みを感じる可能性が高くなります。歯の神経を抜いく治療(抜髄ばつずい)をしたことがある歯は、ほとんど痛みを感じない可能性があります。
そのため、副鼻腔炎(蓄膿症)になっても痛みを感じる歯と痛みを感じない歯があります。
・ 痛みがいつまで続くのか
副鼻腔炎(蓄膿症)で歯が痛くなった時は、副鼻腔炎(蓄膿症)の症状が治るまで痛みが続きます。あるいは、歯や歯の周囲の炎症が治るまでと言われています。早めに適切な治療を行わなければ、複数の歯の周囲の神経に炎症が広がってしまい、複数の歯が痛くなったりする可能性があります。
副鼻腔炎(蓄膿症)が慢性化してしまうと、繰り返して歯が痛くなってしまう場合があります。
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副鼻腔炎で歯が痛いときの対処法
・ 速やかに耳鼻咽喉科を受診しましょう
歯に痛みを感じるほど副鼻腔炎(蓄膿症)の炎症がひどくなってきた場合は、なるべく早めに耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
早めに治療や診断を行うことで、副鼻腔炎(蓄膿症)の炎症を抑え、歯の痛みを軽減することが可能になります。副鼻腔炎(蓄膿症)で歯が痛いときは、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
・ 保冷剤などで冷やす
もし、すぐに耳鼻咽喉科に行くことができないという方は、少しでも症状を軽減するために「冷やす」ということをおすすめします。
頬のあたりを冷やすことで、副鼻腔炎の症状を一時的に和らげる効果が期待できます。試しに行ってみてはいかがでしょうか。長時間冷やしたままだと、凍傷になってしまう恐れがあるので気をつけてください。
ですが、この方法はあくまで耳鼻咽喉科をすぐに受診することが難しいという方への対処法であり、副鼻腔炎(蓄膿症)の症状が治るわけではありません。なので、早めに耳鼻咽喉科で治療を受けましょう。
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まとめ
副鼻腔炎(蓄膿症)と歯の痛みについての関係をお分かりいただけましたか。
もし、副鼻腔炎(蓄膿症)が発症したという方はなるべく早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。