コラム

2024.12.25

金属アレルギーでも歯列矯正はできる?

こんにちは。

神戸市垂水区にある矯正歯科専門医院のふじよし矯正歯科クリニックです。

いつも当院のコラムをご覧いただきありがとうございます。

今回は、「金属アレルギーを持っている方でも歯列矯正治療は出来るのか」というテーマについてお話していこうと思います。

当院に歯ならびのご相談に来られる患者様から、

「金属アレルギーですが、矯正治療をすることは可能でしょうか?」

「金属アレルギーでも出来る矯正装置はありますか?」

「歯ならびをきれいにしたいと思っているが、金属アレルギーがあるので不安で

という質問をされることがあります。金属アレルギーをお持ちだと、歯列矯正をすることは難しいのではないかという印象をされがちですが、現代は医療技術が発展し、金属を使用していない矯正装置もあります。そのため、金属アレルギーをお持ちの方でも安心して、歯列矯正治療を受けていただくことができます。

歯列矯正のワイヤー

  • 1.金属アレルギーの原因となる物質について

金属アレルギーを引き起こしてしまう代表的な原因となる物質には、「ニッケル」「クロム」「コバルト」「パラジウム」「銀」「銅」「すず」が挙げられます。

ワイヤー矯正を行う場合、歯に装置(ブラケット)とワイヤーを使用して治療を行います。この装置(ブラケット)とワイヤーには、ニッケルやクロム、コバルトの金属が使用されています。特にニッケルは、装置(ブラケット)やワイヤーにもよく用いられているので注意が必要です。どの物質で金属アレルギーが起こるのかは個人差がありますので、金属アレルギーが疑われる場合は皮膚科でパッチテストを行うなどして、何の金属にアレルギー反応が起こるのかを把握しておくと良いでしょう。先天的に金属アレルギーでない場合でも、後天的に金属アレルギーの症状が現れる場合もあります。

指輪をつけている女性

  • 2.金属アレルギーの症状について

金属アレルギーは、「遅延型アレルギー」と呼ばれています。

このアレルギーは、遅延型なので24時間から72時間後に症状が現れることが多いです。具体的な症状としては、「口内炎」「かゆみ」「赤み」「唇の腫れ」「湿疹」などが挙げられます。まれにひどい場合だと、意識障害になる可能性があります。

金属アレルギーの症状には「接触性皮膚炎」「全身性接触皮膚炎」の2種類があります。

「接触性皮膚炎」は、金属が皮膚に触れている部分が赤くなったり、かゆみが出てきたりします。このような症状が起こるのは、汗などにより金属が溶けてしまい、イオン化することで起こります。

「全身性接触皮膚炎」は、むし歯治療で使われている被せ物や詰め物などのお口の中の金属類が、つばで溶けてイオン化し、体の中に入ることで全身に症状が出てしまいます。

多くの方は、「接触性皮膚炎」の症状のことが多く、「全身性接触皮膚炎」の方は少ないです。お口の中に銀歯などの金属が入っている場合、特に問題なく過ごせているのであれば、お口の中に金属が入っていてもアレルギー反応はないということになるので、歯列矯正治療も問題なく行うことができるでしょう。

金属アレルギーの検査イメージ

  • 3.金属アレルギーの検査方法について

金属アレルギーの検査は大きく分けて2種類あります。

1つ目は、「パッチテスト」という検査方法です。

パッチテストとは、金属試薬を含んだパッチを2日間(48時間)背中や腕の表面皮膚の直接貼り付けます。そして、アレルギー反応が起こるかを調べます。

パッチテストでは数種類の金属を検索するので、歯科でよく使われている金属(ニッケル、クロム、コバルトなど)もアレルギー反応を起こすのか調べることができます。このパッチテストを行っている間、入浴や運動は行うことが出来ません。

2つ目は、「血液検査」です。

血液検査では、採血を行います。簡単に説明しますと、採取した血液に金属のイオンを加え、アレルギー反応が起こるかを調べます。

血液検査の場合、自分の身体にアレルギー反応が起こらずに済むというメリットがあります。

どちらも金属アレルギーの検査は、結果が出るまで時間がかかってしまうでしょう。そのため、金属アレルギーが疑われる方は早めに検査を受けることをおすすめします。

マウスピースを持っている女性

  • 4.金属アレルギーの方におすすめの矯正装置について

ワイヤー矯正の場合だと、セラミック製の装置(ブラケット)とチタン製のワイヤーを使用することでワイヤー矯正治療を行うことができます。

チタンは、金属の中でもアレルギーを引き起こしにくい素材になります。

ワイヤー矯正以外だとマウスピース型矯正があります。ですが、マウスピース型矯正は全ての歯ならびに適応しているわけではありません。

自分の歯ならびに適応しているかきになる方は一度、矯正歯科で検査を受けてみると良いでしょう。

マウスピース型矯正とワイヤー矯正では治療計画も異なるため、装置を選ぶ時は先生と相談を行うなどして、慎重に選択しましょう。

歯列矯正イメージ

  • 5.まとめ

金属アレルギーの方でも安心して歯科矯正治療を受けていただくことができる矯正装置があるということをお分かりいただけましたか。

金属アレルギーの方で、歯科矯正治療を不安に感じている方は、一度矯正専門の歯科医院で相談してみるのも良いでしょう。

何の金属がアレルギーなのか分からないという方は、まず金属アレルギーの検査を行ってから矯正専門の歯科医院へ歯ならびのご相談に行かれるのもいいかと思います。

また、歯列矯正治療中に金属アレルギーの症状を発症した場合は、なるべく早めに担当の歯科医師に相談しましょう。