こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者の「ふじよし矯正歯科クリニック」です。
今回は、知覚過敏についてお話していきます。
皆さん、冷たい飲み物や食べ物を口にした時に、歯がしみた経験はありませんか?冷たい飲食物以外にも、熱い物や歯ブラシの毛先が触れたりすると痛むのも知覚過敏の症状になります。食事をするのにも、歯磨きにも影響がでてしまう知覚過敏はどうしてなってしまうのか?その原因のお話と予防の仕方と治療の方法についてお話していきます。
知覚過敏とは?
歯磨き粉などのテレビのCMでも度々出てくる「知覚過敏」とは、虫歯になっていない歯がしみてしまう症状のことを言います。正式な名称は「象牙質知覚過敏症(ぞうげしつちかくかびんしょう)」と言います。歯がしみるから虫歯かも?と思い、歯医者に行っても虫歯になっていない、けど歯がしみて飲食がしにくい場合は、知覚過敏になっています。歯のしみ方や痛みは人それぞれで違い、「ツーン」・「ジーン」・「ズキッ」など痛みの感じかたがあります。
健康な歯は、エナメル質に歯が覆われています。実はエナメル質というのは、人の体の中で一番硬く、その強度は鉄や骨より高いのです。普段は、このエナメル質によって歯は守られているので、熱いもの・冷たいもの・硬いものを飲食しても、歯が消耗することなく食事ができています。このエナメル質の下には、象牙質があります。そして象牙質の中には歯髄(しずい)と呼ばれる歯の神経が通っています。
何らかの原因で、エナメル質が無くなってしまって、薄くなってしまった箇所は象牙質がむき出しになってしまっていて、痛みが歯髄を伝ってでてしまうのが知覚過敏です。
知覚過敏がおきる原因
歯肉(歯茎)の退縮(歯茎下がり)
知覚過敏になってしまう一番の原因は、加齢や歯周病によって歯肉がさがってしまう「歯肉退縮(しにくたいしゅく)」です。若い頃にくらべて見えている歯が長くなった?と思うことはありませんか?それは、加齢や歯周病が原因による歯肉退縮になっているからです。加齢は誰しもが止めることができませんが、今以上に悪化させないことはできます。毎日の丁寧で正しい歯磨きを心がければ大丈夫です。
歯のエナメル質のすり減り
普段の生活で、上と下の奥歯の状態を気にしたことはありますか?本来、上と下の奥歯が噛みあう又は歯があたる時は、話す時と食事の時だけです。食べたり話したりしていな時、例えばテレビを見ている・スマホを見ている・本を読んでいる・ゲームをしている・お仕事中(パソコン使用中)・車や自転車の運転中・お買い物中・などなど、普段の何気ない生活の中で少しでも奥歯があたっていると、上と下の圧力が常に歯にかかってしまい、エナメル質がだんだんとすり減ってしまいます。また、過度な力での間違った歯磨きをしていると同じようにエナメル質がすり減ってしまう原因になります。
歯のくいしばりや歯ぎしり
寝ている時、自分では気づかないのですが、歯ぎしりをしていると家族や友人に指摘されたことはないですか?また日中、運動や勉強、お仕事中に無意識に奥歯をぐぅっと噛みしめていませんか?それは、歯のくいしばりといい、歯ぎしりと同様に歯が摩耗(まもう)してしまい歯が欠けてしまい、奥歯のエナメル質がすり減ってしまいます。
歯の欠けやひび割れ
日中の歯のくいしばりや寝ている時の歯ぎしり、間違った歯磨きの方法などで、歯の表面を傷つけてしまうと歯が欠けたり、ひびが入ったりします。歯に過度な力がかかると「くさび状欠損」(歯の表面の象牙質が剥がれてしまっている状態)がおこりやすくなり、その部分がしみたりするようになります。
酸性の食べ物や飲み物の取りすぎ
お酢や炭酸飲料など酸性の食べ物を食べていたり飲み続けていると、お口の中の状態が酸性になる時間が多くなり、歯の表面のエナメル質が溶けてしまうことがあります。エナメル質が溶けてしまうとその部分が知覚過敏をおこしてしまいます。
歯のホワイトニング
歯のホワイトニングをすると、ホワイトニングの薬剤での副反応で知覚過敏のような歯がしみる症状がでます。ホワイトニングの薬剤の濃度が高すぎたり、薬剤の量が多いとさらに歯がしみる原因になります。とくにホームホワイトニングの場合は、薬剤をつけすぎないように、時間も守るように気をつけてください。必ず歯科医師の指示通り行なうようにしましょう。
知覚過敏にならないための予防方法
正しい歯磨きの仕方でブラッシングをする
毎日の歯磨きの仕方を正しくするだけで歯の負担は少なくなります。テレビやスマホを見ながらのなどのナガラ磨きでも歯ブラシの角度や力加減など気をつけて正しく磨けていれば問題ありません。自分の歯磨きが正しくできているか、かかりつけの歯科医院で確認してもらうと良いと思います。
知覚過敏用の歯磨き粉を使う
お近くのドラッグストアにも沢山の歯磨き粉が売られていると思いますが、パッケージに「知覚過敏用」と書かれている歯磨き粉をお使いください。知覚過敏用の歯磨き粉には、歯の神経に刺激が伝わりにくい成分が含まれています。一回だけの使用で効果はでないので、継続して使用をするようにしてください。
歯科医院での定期健診
3か月~4か月ぐらいの間隔で定期的な歯科医院での検診で、知覚過敏の早期の発見と治療や対策ができます。学校やお仕事でお忙しいとは思いますが、歯科医院の定期健診はとても重要です。
知覚過敏の治療の方法
知覚過敏用のコーティング剤を塗布する
知覚過敏の症状があれば、歯科医院で知覚過敏用のコーティング剤を塗布することで、しみるのを防いでくれます。薬剤(コーティング剤)を歯に塗布して照射して固めるものや、塗布して数分待つと固まるような薬剤があります。あくまでもコーティング剤なので取れることがありますので定期的に塗布することをおすすめします。
就寝時用のマウスピースを作る
寝ている時に歯ぎしりをしている方には、就寝時に使用するマウスピース(ナイトガード)を歯科医院で作るのも効果があります。マウスピース(ナイトガード)を使用することによって歯ぎしりを抑えて歯の表面の摩耗を防ぎます。
CR(コンポジットレジン)で治療する
知覚過敏用のコーティング剤ではなく、歯科医院で虫歯の治療の時に使うことが多いCR(コンポジットレジン)で治療することもあります。虫歯治療でも使われているので、コーティング剤よりも効果が長く続き取れにくいという特徴があります。知覚過敏の症状がどの歯ののどの部位にもよりますが、コーティング剤を塗布するかCRで充填するかは、歯科医院でご相談ください。
歯の神経を抜く
知覚過敏用のコーティング剤やCR充填、就寝時用のマウスピース(ナイトガード)など使用しても知覚過敏の症状が治まらない場合は、痛みがある歯の神経を抜く治療もあります。歯の神経を抜くと痛みは無くなりますが、歯がもろくなったり、歯が黒く変色してしまうこともあり、最終の手段になります。
まとめ
知覚過敏の痛みは地味に痛いので、ならないように予防をするか、早めに治療をするのが良いです。いつもの歯磨きの仕方や歯ブラシの毛先の硬さなどで歯の表面にあるエナメル質を傷つけないようにブラッシングをするよう心がけてください。少しでも歯に痛みがある場合は、知覚過敏ではなく虫歯の可能性もあります。自分で判断せずにかかりつけの歯科医院で診察をしてもうようにしましょう。