コラム

2023.07.21

舌癖(ぜつへき)とは?


舌癖(ぜつへき)とは、舌で上の前歯の歯の裏側や、下の前歯の歯の裏側を押している、または、歯と歯の間から舌をだしてしまう舌の癖のことをいいます。普段の日常生活の中で無意識に舌で歯を触って押してしまっていたり、舌を歯と歯の間にいれていたりしていませんか?癖なので、自分でも気づかないと思いますが、お口の中の癖は、歯の並びや滑舌など発音にも大きく影響します。

また、舌癖があると、歯列矯正治療をして歯の並びを綺麗に整えても、後戻りをしてしまい、歯の並びが崩れてしまう原因にもなります。舌癖は、しっかりとトレーニングをして治しておく必要があります。

舌癖があるかな?チェックをしてみましょう


舌癖があるかセルフチェックができます。一度チェックをしてみましょう。

  • ・いつもお口がぽかんと開いている
    ・歯で舌をかんでいる
    ・常に舌で上の前歯か下の前歯の裏側をさわっている
    ・飲みこむときに舌に歯があたっている
    ・むせやすい
    ・口の中がよく乾いている
    ・無意識に舌をだしている
    ・食べるときにくちゃくちゃと音をたてている
    ・食べたものが口からこぼれる
    ・食べるときに舌をだして食べ物を食べる
    ・唇を閉じると下顎に梅干しのようなシワができる
    ・滑舌が悪い
    ・姿勢が悪い(猫背)
    ・口呼吸をしている
    ・うつぶせ寝、横向きで寝ている
    ・寝ているときにいびきをかいている
    ・頬杖をつく

 

どうですか?お子様やご自身はいくつ当てはまりますか?一つでも当てはまれば舌癖がある可能性があります。舌癖があると、舌と唇とお口の周りの筋肉のバランスが悪くなってしまい、顎の成長や歯の並びに影響がでます。舌癖になってしまう原因はいくつかあります。

舌癖の原因

①指しゃぶり

赤ちゃんの頃(乳児期)の指しゃぶりは問題ありませんが、その後4才~5才(幼少期)になっても指しゃぶりが続いている場合は、指しゃぶりの癖を治したほうがいいです。なぜなら、指を吸っていることで上の歯と下の歯の間に隙間ができる開咬(かいこう)になってしまったり、吸っている指にそって上の前歯が傾いてしまい前歯がでてしまう上顎前突(じょうがくぜんとつ)になるからです。

また、指を強く吸っていることで、頬っぺたが歯を中へ押し込んでいる状態になってしまい、上の歯の並びがVの字になる狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう)になります。指をしゃぶる癖がなくなっても、出来てしまった隙間に舌をいれてしまう癖は残ってしまいます。

②口呼吸(こうこきゅう)


アレルギー性鼻炎・花粉症・扁桃腺肥大・アデノイド・蓄膿症などの疾患があり慢性的な鼻づまりがあるとどうしても口呼吸になってしまいます。口呼吸のままだと、舌が正しい位置のスポットに置けずに下にさがってしまいます、これを低位舌(ていいぜつ)といいます。下にさがったままだと、飲みこむときに舌を前に突き出すような癖がついてしまいます。

また、口呼吸をしているとお口がポカンと開いているので、お口の周りの筋肉も弱ってしまいます。口呼吸を治さずにいると、お口の中が乾燥しているので、唾液の量が減ってしまい虫歯や歯周病のリスクが高くなり、口臭の原因にもなります。また、お口の中だけではなく、ウイルスや細菌を直接お口で吸っていることで風邪をひきやすくなります。

③低位舌(ていいぜつ)


舌が正しい位置(スポット)についておらず、常に下の前歯の裏側に舌の先があたっている状態のことを低位舌(ていいぜつ)といいます。舌が歯にあたっているので、舌の両側面に歯の形がついてしまうことがあります。起きているときも口がよく開いている(ポカン口)かたは、舌が下にさがっている場合が多いです。低位舌の癖があると、飲みこむ(嚥下)ときに、舌で下の前歯を裏側から押してしまいます。舌の力はとても強いので、下の歯を無意識に押してしまい反対咬合(受け口)や、舌の力で歯と歯に隙間ができる空隙歯列(くうげきしれつ)になってしまうことがあります。
また、低位舌の場合多くは口呼吸になっていることが多いです。

④舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)

舌を前に押し出してしまうような癖のことを、舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)といいます。開咬や空隙歯列のような歯に隙間があると、その隙間に舌をいれて、舌の力で余計に歯を押してしまいます。また、話すときや飲み物を飲みこむとき(嚥下)にも舌をだしてしまうので、上と下の前歯を常に押していることになり、開咬になります。

⑤異常嚥下癖(いじょうえんげへき)

普段、日常的に食べ物や飲み物を飲みこむときに、舌が前にでてきてしまう癖のことを異常嚥下癖(いじょうえんげへき)といいます。正しい飲みこみかたは、舌が上の顎についていて、上と下の歯が噛んでいる状態で飲みこみます。舌の癖があるのが原因で、上と下の歯が噛みあっていない場合は、異常嚥下癖になってしまうことがあります。

⑥舌小帯(ぜつしょうたい)が短い

舌の裏側のヒモのことを、舌小帯(ぜつしょうたい)といいます。この舌小帯が短いと舌が上に上がらず、正しい位置のスポットに舌が届きません。上にあげられないので舌が下がったままになってしまい低位舌になってしまいます。舌小帯が短いと、舌をあげたときに舌がひっぱられて舌がハートの形になるのが特徴です。舌が上にあげられないので滑舌が悪くなります。とくにサ行、タ行、ラ行の発音に影響がでて舌足らずな話し方になってしまうこともあります。

今回は、舌癖についてお話をしました。舌の癖は自分では気づかないこともあると思います。ふじよし矯正歯科クリニックでは、歯列矯正治療と並行して舌癖を治すトレーニングを行っています。癖を治すのは、意識して毎日トレーニングができるよう、トレーニングの用紙はいつも見えるところに貼ってもらうようお伝えしております。歯列矯正治療と一緒に舌の癖も治して、綺麗な歯並びを保てるようにしていきましょう。

2023.07.21

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で歯が動く仕組みとは?補助装置についても解説!

こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。

整った歯を見せて笑う女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で歯が動く仕組みには、歯根膜が大きく関係しています。歯に圧力をかけられた歯根膜が膨張・収縮することで、顎の骨の吸収・再生が行われて徐々に歯が動くのです。

今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で歯が動く仕組みや補助装置について詳しく解説します。

歯の矯正治療で歯が動く仕組み

顎に手を当てて考える女性

歯は、歯茎から見えている歯冠と、歯茎に隠れている歯根から成り立ちます。歯根の周囲にある、骨と結合している薄い膜が歯根膜です。歯科矯正では、歯根膜の働きを活用して歯を動かします。

歯冠に力を加えると歯根にも伝わり、加えられた力によって引っ張られる側の歯根膜は伸び、逆に押された側の歯根膜は縮みます。さらに力を加え続けると、引っ張られて伸びた側の歯根膜は厚みを増し、押されて縮んだ側の歯根膜の厚みは減るのです。

厚みを増した歯根膜は、もとの厚さに戻ろうと働き、すき間を埋めるように新しい骨を形成します。厚みが減った側の歯根膜は、もとの大きさに戻ろうと働き、骨を溶かす細胞を活性化させます。

ワイヤー矯正やマウスピース型矯正装置(インビザライン※)など、どの矯正方法でも、歯根膜が一定の厚さを保つための働きを利用して歯が動かされます。歯根膜がもとの厚みに戻ろうとする性質を利用して、少しずつ確実に歯を正しい位置へと導くのが、矯正治療の仕組みです。

仕組みを知らないと、力を加えて無理に歯を動かしているように見えるかもしれません。

しかし、実際には人間の体が本来持つ、歯根膜が厚さを一定に保とうとする働きを利用して歯を自然に動かします。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で歯が動く仕組み

スマホを操作して考える女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、歯と歯茎全体を包み込むマウスピース型矯正装置を用いて歯を動かす方法です。従来のワイヤーとブラケットを使用した矯正とは異なり、目立たないことが特徴です。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、スキャナーで歯形や歯並びの情報を取得することから始まります。得られたデータを分析し、一人ひとりの口腔状態に合わせたカスタムメイドのマウスピースが製作されるのです。

アライナーともよばれるマウスピースは、もとの歯並びと少しずらして製作されます。そのため、マウスピースを装着するとずれによって歯に圧力がかかって歯が動くのが、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の仕組みです。

一般的に、マウスピースは約1~2週間ごとに新しいものに交換します。1枚のマウスピースで0.25mmほど歯が動きます。

歯を動かすために使われる補助装置

インビザラインを見せて説明する女性歯科医師

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、効率的に歯を動かすために補助装置が用いられることも多いです。今回は、アタッチメントと顎間ゴム(ゴムかけ)をご紹介します。

アタッチメント

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の矯正治療では、より効果的な治療を目指して、アタッチメントとよばれる小さな樹脂製の器具が使用されることがあります。

アタッチメントは、歯の色に近い突起状の器具で、歯並びの微調整や治療をスピーディに進める目的で使用される場合が多いです。治療完了後には跡を残さず取り外されるため、心配する必要はありません。

アタッチメントの使用は、マウスピース型矯正装置が歯に固定されることを助け、歯の向きや角度の微調整を可能にします。適切な位置にアタッチメントを設置することで、矯正治療がより効果的に行えるのです。

ただし、全ての症例でアタッチメントが使用されるわけではありません。必要に応じて歯科医師が使用を指示します。

アタッチメントの形状や大きさによって作用する力は変わります。例えば、縦に生えている歯に対してねじれた力を加える、前に出ている歯を歯茎から90度の向きに動かすような力を加えることなども可能です。

治療目標に応じて、最適な形状のアタッチメントが取り付けられるでしょう。

顎間ゴム(ゴムかけ)

顎間ゴム(ゴムかけ)は、歯科矯正治療において上の歯と下の歯の噛み合わせを改善するために使用されます。フック状の装置に医療用ゴムを引っ掛けるものです。

見た目の歯並びが改善されたあとに行われることが多く、機能面の改善を目的に最終仕上げとして行われます。

歯科矯正では、見た目の改善だけでなく、噛み合わせの状態も重要視されます。歯並びが美しくなっても、食事中に顎に痛みを感じると食事が苦痛になるでしょう。このようなケースにおいても、顎間ゴムは重要な役割を果たすのです。目安ですが、1日20時間ほど装着します。

ゴムの種類と用途を表にまとめました。

<顎間ゴムの種類と用途>

ゴムの種類 用途
Ⅱ級ゴム ・主に上顎前突(出っ歯)の症例に使用する
・上顎の犬歯と下顎の第一大臼歯にゴムをかけ、上顎が後方へ、下顎は前方へ引っ張る
Ⅲ級ゴム ・主に反対咬合(受け口)の症例に使用する
・下顎の犬歯と上顎の第一大臼歯にゴムをかけ、上顎が前方へ、下顎が後方へ引っ張る
クロスゴム ・クロスバイトやシザーズバイト(歯列が左右にずれている)に使用する
・上顎と下顎の同じ歯の頬側、舌側または口蓋側にゴムをかける
垂直ゴム ・上顎と下顎の歯が接触していない、開咬に使用する
・上顎と下顎の同じ歯の頬側にゴムをかけ、上下の歯を互いに垂直に引っ張る

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の効果はいつ頃から実感できる?

インビザラインを持って笑う女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による矯正治療の効果を感じるまでの期間は、個々の状況や治療計画によって異なります。

初期の変化

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では1枚のマウスピースで0.25mmほどしか動かせないため、治療を開始してすぐには効果を実感できません。通常、治療開始から3~4か月程度で効果を実感できるでしょう。

中期の変化

数か月〜1年程度の途中経過時期には、歯の移動や整列が進み、より明らかな変化が感じられるでしょう。アライナーを定期的に交換することで、歯列は理想の位置へと徐々に近づきます。数か月〜1年程度経つと、歯の位置や噛み合わせの改善が明確に感じられる方が多いです。

最終的な変化

最終的な治療結果は、治療開始から1~2年後に実感できます。部分矯正や軽度の症例の場合は、早くて半年ほどです。

まとめ

インビザラインを専用のケースに片付ける

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で歯が動く仕組みは、歯根と骨の間にある歯根膜が関係しています。マウスピースで歯冠に力を加えることで、片側の歯根膜は引っ張られて厚みが増します。

一方、押された側の歯根膜は縮んで厚みが減るので、厚みを補うために骨が形成され、引っ張られた側の歯根膜の骨は吸収されていくのです。

骨の吸収と再生のサイクルを利用して歯を動かすのが、矯正治療の仕組みです。早く動かそうと過度に力を加えると、歯根に炎症が起きて歯根吸収が起きます。歯根吸収が起きると、痛みを感じる場合や、歯がグラグラと動く場合があるでしょう。

矯正治療では、適度な力を加えること、骨の吸収と再生のサイクルに合わせて歯を移動させることが非常に重要です。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、歯を効率的に動かすためにアタッチメントや顎間ゴム(ゴムかけ)などの補助装置を使用することがあります。正しく使用することで、より早くよりきれいな歯並びを手に入れられるでしょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、1つのマウスピースで0.25mmほどしか歯が移動しません。矯正の効果を実感するまでに3~4か月ほどかかりますが、治療中の問題や後戻りのリスクを下げるために根気強く続けましょう。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)について疑問や不安がある場合は、事前に歯科医師に相談してください。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)による治療を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。

※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

2023.07.14

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができない症例とおすすめできない人とは?

こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。

インビザラインを専用のケースに片付ける女性の手元

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、治療が難しい症例があります。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では治療できない場合でも、ほかの治療法できれいな歯並びを目指せるため、矯正治療自体を諦める必要はありません。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)に必要な自己管理についての知識を身につけ、ご自身の生活スタイルと照らし合わせながら治療を受けるかどうか検討しましょう。

今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができない症例や、かわりの治療法について解説します。ご自身に合った無理のない治療法で、歯並びを整えましょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができない症例とは

胸の前でNGサインを作る女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができない症例は、以下の4つです。

・顔面骨格の問題が重度な症例

・歯周病が進行している症例

・複数本の抜歯が必要な症例

・インプラント治療の経験がある症例

ひとつずつ解説します。

顔面骨格の問題がが重度な症例

顔面骨格の問題が重度な場合、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)だけでなくワイヤー矯正でも治療が難しいです。多くは外科手術を併用した矯正治療が必要になります。ただし顎口腔機能診断施設である歯科医院であれば、矯正治療も手術も保険適用になりますが、マウスピース型矯正装置をもちいる場合は保険適用になりません。

歯周病が進行している症例

歯周病が重度の場合、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)だけではなく矯正治療自体が困難です。歯周病の炎症が顎の骨に広がると、歯を支える顎の骨が溶かされます。骨が溶けた状態では、歯列矯正の強い力に歯が耐えられず抜けてしまうため、矯正治療が難しいのです。

また、治療完了後は歯を正しい位置に定着させるため、インプラント、ブリッジ、入れ歯などの治療で歯を互いに固定する必要があります。

矯正治療を検討している方は、毎日の歯磨きで歯周病を予防しましょう。すでに歯周病の症状がある方は、矯正治療を希望していることを歯科医師に伝え、歯周病治療を開始してください。

複数本の抜歯が必要な症例

複数本の抜歯が必要な場合、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で治療できない可能性があります。歯を複数本抜歯すると歯の移動距離が長くなるため、歯並びの微調整を得意とするマウスピース型矯正装置(インビザライン※)は不向きとなるのです。

抜歯が必要な症例として、重度の出っ歯や叢生などが挙げられます。これらの症例では、抜歯であいた空間にほかの歯を移動させるために、長い期間が必要です。

そのため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正を併用する、あるいはマウスピース型矯正装置(インビザライン※)以外を選択するなどで治療する場合が多いでしょう。

インプラント治療の経験がある症例

インプラント治療の経験がある方は、矯正治療が難しいとされています。

インプラントは、顎の骨に埋め込んだネジを人工歯の土台とするため、矯正力を加えても動かすことができません。歯列矯正の対象はあくまでも天然の歯なので、インプラント部分は対象外なのです。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)をおすすめできない人

 NGの吹き出しを出す木の人形

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が向いていない人の特徴は、以下の3つです。

・決められた装着時間を守れない

・マウスピースの定期的な交換ができない

・適切な衛生管理ができない

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は自己管理が必要な治療なので、生活スタイルや性格によっては向いていない場合があります。以下を参考に、ご自身の生活に取り入れられそうか検討してください。

決められた装着時間を守れない

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、マウスピースを1日20~22時間装着する必要があります。決められた時間を守る前提で治療計画が立てられているため、装着時間が短くなると計画どおりに歯が動きません。

食事や歯磨きの時間などは除いて20~22時間の装着が必要なため、食後は必ずマウスピースを装着する習慣をつけましょう。装着時間が守れない人、まとまった食事時間がとれずマウスピースを頻繁に取り外す人は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は向いていないといえます。

マウスピースの定期的な交換ができない

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、定期的に新しいマウスピースに交換しなければいけません。具体的には、1~2週間ごとにマウスピースを交換し、歯を徐々に移動させ歯並びを整えます。

ご自身で交換時期を意識して新しいマウスピースへの取り替えを行い、歯科医師に歯の動きをチェックしてもらうために定期的に受診する必要があります。

マウスピースの交換や定期検診を怠ると歯の移動が遅れるため、治療が停滞するでしょう。交換時期の管理が難しい人は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)よりも、歯科医師の管理のもとで進めるワイヤー矯正のほうが向いているかもしれません。

適切な衛生管理ができない

マウスピースは、取り外すたびに洗浄する必要があります。洗浄が不十分だと、マウスピースが不衛生になり、虫歯や歯周病のリスクが高まるでしょう。

虫歯や歯周病になると、矯正治療を中断して虫歯や歯周病治療を優先する場合が多いです。治療計画から大幅に遅れるため、食事や歯磨きのときにマウスピースを外したら必ずブラッシングを行い洗浄しましょう。

また、定期的にマウスピース専用の洗浄剤を用いて清潔に保つ必要があります。毎日の適切な衛生管理に苦手意識のある人は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は向いていないといえるでしょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)にかわる治療法

ワイヤー矯正をつけて笑う女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が適応外でもかわりの方法で治療が可能なため、矯正治療を諦める必要はありません。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のかわりの方法は、以下の2つです。

・ワイヤー矯正

・ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置(インビザライン※)の併用

それぞれ解説します。

ワイヤー矯正

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のかわりの治療方法として第一の選択となるのが、ワイヤー矯正です。

ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットという装置を取り付け、ブラケットに通したワイヤーの力を利用して歯並びを整える治療方法です。ワイヤー矯正は歯を大きく動かせることが特徴なため、抜歯が必要な重度の叢生や重度の出っ歯などの治療も可能です。

しかし、ワイヤー矯正は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のように自力で装置の取り外しができません。ワイヤー矯正の見た目が気になる方は、クリアブラケットを選択するとよいでしょう。ワイヤーやブラケットが透明や白色になっている、目立たない矯正装置が利用できる場合があります。

ワイヤー矯正は多くの症例で治療が可能なため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができないといわれた人も治療が可能なことがあります。

ワイヤー矯正のなかに、舌側矯正という方法があります。

舌側矯正は、歯の裏側にブラケットとワイヤーを取り付ける方法です。矯正装置が正面から見えないため、審美性が気になる方も治療に取り組みやすいことがメリットです。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は目立たないことから選択する人が多いので、かわりの治療として選ばれています。

舌側矯正もほとんどの症例の治療が可能ですが、通常のワイヤー矯正よりも装置の作製が難しい傾向があります。そのため、舌側矯正に対応していない歯科医院もあります。通常のワイヤー矯正よりも治療費が高額になることも知っておきましょう。また歯の裏側に装置をつけるため、舌が傷ついて痛い、話しづらくて仕事に支障をきたすという理由で、治療途中でマウスピース型矯正装置に変更される人もいます。

ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置(インビザライン※)の併用

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)だけでの治療が難しくても、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正を併用することで治療できる場合があります。歯の移動距離が長い部分はワイヤー矯正で治療し、ある程度歯並びが整ってきたらマウスピース型矯正装置(インビザライン※)で微調整する方法です。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、噛み合わせの調整や細かい歯の動きの調整を得意とするため、矯正初期はワイヤー矯正を行い、矯正中期〜後期にかけて切り替える場合が多いです。ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置(インビザライン※)を併用することで、見た目の違和感を軽減できるでしょう。

まとめ

歯科医院で鏡を見て歯を確認する男性

今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができない症例とおすすめできない人について解説しました。

顔面骨格の問題が重度の症例や歯周病が進行している症例では、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)の適応外となる可能性が高いです。また、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は自己管理が必要なため、装着時間を守れない人やマウスピースの定期的な交換ができない人、衛生管理が苦手な人には向いていないでしょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)にかわる治療法としては、ワイヤー矯正が挙げられます。審美性の高い舌側矯正、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置(インビザライン※)の併用でも治療が可能な場合が多いです。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ができない場合は、かわりの矯正方法を利用してきれいな歯並びを目指しましょう。ストレスなく治療を進めるには、生活スタイルやご自身の性格を考慮して、自己管理できそうか検討する必要があります。

歯科矯正を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。

※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

2023.07.14

『歯ならび』と『スポーツ』の関係とは

スポーツをしている大人の方・部活動をしている学生さん・運動系の習いごとに通っているお子さまで、歯ならびや嚙み合わせに悩みを抱えつつも、スポーツが出来なくなることを恐れて歯列矯正を諦めていませんか。スポーツをしている方でも可能な歯列矯正の方法があるので、歯ならびや嚙み合わせで悩んでいる方は是非参考にしてみてください。

矯正治療中にスポーツはできるのか

スポーツをしている人が歯列矯正をするのは、基本的に問題はございません。
治療中に装着している装置が壊れてしまったり、患者様側が治療を一時中断しなければならないことが起きない限りは、治療期間も3年で終わるケースがほとんどです。
スポーツを頑張っている方ほど、歯ならびや嚙み合わせを整えるとたくさんのメリットもあります。スポーツの種目によって噛む力が発揮される場面は異なります。
例えば、陸上などのスピード系の競技ではスターティングの際にしっかり噛みしめることにより体のブレを防げます。
他にもウエイトリフティング(重量挙げ)などのパワー系競技では力を込めて、しっかり噛みしめることで、最大パフォーマンスを発揮することができます。
強い動作を行う時に、しっかりと噛みしめることで、より高い瞬発力を発揮することが期待できます。

スポーツをしていても可能な矯正治療の種類

① ワイヤー矯正(表側矯正)

歯の表面にブラケット(一般的な歯につける装置)を装着し、ワイヤーを通す方法です。
ワイヤー矯正の特徴は、さまざまな症状に対応することができます。
【ワイヤー矯正(表側矯正)のメリット】
装置が歯の表面についているため、舌にあたらず大きな声を出しても影響がありません。

【ワイヤー矯正(表側矯正)のデメリット】
装置が目立ってしまうことです。
ですが、当院では小臼歯まで白いプラスチックのブラケットを追加費用なしで使用しているため、金属のブラケットよりかなり目立ちにくい見た目になっています。
さらに、追加費用がかかりますが白いワイヤーも準備しているので、見た目が気になる方も安心して治療を受けていただくことが可能です。

② ワイヤー矯正(裏側矯正)

歯の裏側にブラケットを装着し、ワイヤーを通す方法です。
【ワイヤー矯正(裏側矯正)のメリット】
外から見て目立ちにくいですが、スポーツをする方にはデメリットのほうが多くなります。
【ワイヤー矯正(裏側矯正)のデメリット】
歯の裏側に装置をつけるのはベテランの歯科医師でも難しいため、競技中の転倒などによって外れてしまった場合、修復するのに時間がかかります。
外れることが多ければ、治療が長引いてしまう可能性もあります。
他にも、装置が舌にあたることが多いので声を出すときに気になってしまうかもしれません。
装置がお口の粘膜に触れてしまう回数が増えると口内炎などのトラブルにつながる可能性も高まります。

③ マウスピース矯正

マウスピース型の矯正装置を使って歯を動かしていく方法です。
【マウスピース矯正のメリット】
裏側矯正と同じく目立ちにくいことです。
【マウスピース矯正のデメリット】
マウスピースの1日の装着時間が決められているため、マウスピースを外している時間が長いと治療がなかなか進みません。
また、マウスピースをつけたままスポーツドリンクや清涼飲料水を飲んでしまうと虫歯になってしまいます。
マウスピースを矯正は、患者様の自己管理が重要になります。

スポーツ選手・運動部が歯列矯正をするメリットとデメリット

スポーツ選手や運動部が歯列矯正を行うことにより、さまざまなメリットを得ることができます。
また、見た目の美しさだけでなくパフォーマンスアップにつながる可能性も高まります。スポーツの活動と平行して進めるのは大変なイメージがしますが、自分の通いやすい場所や信頼のできる歯科医師が見つかれば、ストレスなく快適に矯正治療を進めやすくなるでしょう。

【メリット】
① 歯ならびや噛み合わせが良いと身体能力や瞬発力にも良い影響があるといわれています。
また、歯ならびをよくすると噛み合わせが良くなるため、左右のバランスが整う効果も期待することができます。
②噛み合わせがよくなると噛む力が強くなるため、食べ物の咀嚼もしやすくなります。なので、食事の消化が良くなり、効率よく栄養補給ができるようになることが期待できます。
【デメリット】
① スポーツをしている時に矯正装置が外れてしまう可能性があることです。
スポーツの種類によっては、接触や転倒で矯正装置が外れていがんでしまい、お口の中が傷付いてしまうリスクがあります。

お口の中が痛かったり違和感がある状態だとスポーツに集中できず、ストレスに感じてしまうかもしれません。
②水分補給の時に、スポーツドリンクや清涼飲料水を飲むと虫歯のリスクが高まります。とくに、マウスピースを装着しているままスポーツドリンクなどの糖類が含まれている飲み物を摂取すると、糖を歯にパック(お顔などに貼るパックのことです)していることになるので非常に危険です。
なので、歯列矯正治療中の方には水分補給はお水かお茶をおすすめしております。もし、スポーツドリンクや清涼飲料水を飲む場合は、飲んだ後にお水を飲んだり歯磨きやうがいをしてお口の環境を整えましょう。

歯ならびと噛み合わせのスポーツの関係

① 筋肉に影響する

スポーツ中に力を入れる時、顎が正しい位置にないと最大限の力が発揮できないとされています。顎を正しい位置にもっていくためには、歯列矯正をして歯ならびや噛み合わせを正しくすることが重要となります。
噛むことで大脳にある咀嚼運動野を活性化し、全身の筋力アップにつながるということが近年分かってきました。

②全身のバランスが崩れてしまう

歯ならびや噛み合わせが悪いと頭や顎の位置が正しくなくなってしまいます。
そうなると頭が痛くなったり、顎が痛くなったり、肩や首などの身体の筋肉にも影響を及ぼすリスクがあります。

③口呼吸を日常で行っていると酸素欠乏症になりやすい

歯が出ていて(出っ歯)お口が閉じづらい、鼻がつまって鼻呼吸がしづらいなどによって鼻で呼吸することが難しい方は、口で呼吸することが癖になってしまっています。
スポーツをしているときに口で呼吸していると『酸素欠乏症』になるリスクが高くなってしまいます。
なので、歯列矯正で歯並びの改善や耳鼻咽喉科で鼻で呼吸ができるように改善することをおすすめします。
他には、普段お口がポカンと開いたままになっている方もお口で呼吸するくせがついてしまっているかもしれません。
そのような場合は、鼻で呼吸するよう意識してみてください。

④ケガをしてしまったり痛めたりするリスクが高くなる

歯ならびや噛み合わせが悪いままの状態でスポーツをするということは、
身体のバランスが歪んだり、正しくない状態でスポーツをしていることになります。

⑤むし歯や歯周病にかかりやすくなる

歯ならびが悪いと歯磨きが行いづらいので、食べかすが溜まりプラークや歯石ができやすくなってしまいます。
そうなると、むし歯や歯周病にかかるリスクが高くなってしまいます。
歯の痛みにより集中力が欠けてしまったり、食いしばったときに歯が欠けたり割れてしまう原因にもなります。

まとめ

「歯ならび」と「噛み合わせ」が「スポーツ」と関係していることが分かっていただけましたか?
スポーツをしていても問題なく歯列矯正を行うことができます。
歯ならびや嚙み合わせを改善することで、パフォーマンスの向上につながります。
歯列矯正に興味のある方、気になっている方はぜひ一度相談してみることをおすすめします。

2023.07.07

不正咬合とは?

今回は、学校歯科健診で噛み合わせにチェックがはいった場合の不正咬合とは何かについてお話ししたいと思います。
前にもお話したように、学校歯科健診での歯列・咬合の判定は、学校歯科医会による判定基準により
・異常なし=0
・定期的な観察が必要=1
・専門医(歯科医)による診断が必要=2
上記の3つに分けられています。
今回は、咬合判定で「2」だった場合の基準について説明していきます。

咬合判定「2」の判断基準

・下顎前突 前歯部2歯以上の逆被蓋
・上顎前突 オーバージェット7~8mm以上(デンタルミラーの直径の半分以上)
・開  咬 上下顎前歯切縁間の空隙が6mm以上(通常のデンタルミラーのホルダーの太さ以上)ただし、萌出が歯冠長の1/3以下のものは除外
・叢  生 隣接歯が互いの歯冠幅径の1/4以上重なり合っているもの
・正中離開 上顎中切歯間の空隙が6mm以上(通常のデンタルミラーのホルダーの太さ以上)
・その他  上記以外の状態で特に注意すべき咬合並びに特記事項
(例えば、過蓋咬合、交叉咬合、鋏状咬合、逆被蓋(たとえ1歯でも咬合性外傷のあるもの)、軟組織の異常、過剰歯、限局した著しい咬耗など)

正常咬合(正常な歯並び)と、不正咬合の違いと種類

正しい歯並び(歯列)や噛み合わせを正常咬合といいます。問題がある歯並びや噛み合わせは不正咬合といいます。

①正常咬合(せいじょうこうごう)

正常咬合とは、
1、真正面からみて、上の前歯と下の前歯の真ん中(正中)がそろっている。
2、奥の歯は、横からみたときに山と谷がちゃんと噛み合っている。
3、上の前歯が、下の前歯を2~3ミリおおって前にでている。
4、上下の歯列(歯並び)が、きれいなアーチ状になっている。
上記以外の歯列(歯並び)は、不正咬合といいます。

不正咬合の種類

②反対咬合(はんたいこうごう)(下顎前突も含む)

反対咬合とは、噛んだときに上の歯より下の歯が前にでている歯並びのことをいいます。
つまり、正しい噛み合わせの逆になっているということです。
一般的には、「受け口」とも呼ばれています。

③上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突とは、上の前歯や歯ぐきが前に飛び出ている歯並びのことをいいます。
前歯(上顎)全体が出ている場合と、前歯1~2本が突出している場合がありますがどちらも上顎前突になります。
一般的には、「出っ歯」と呼ばれています。
奥歯で噛んでも、上の前歯が出ていることで唇が閉じれずに少し口が開いた状態になります。意識して閉じれば下顎(唇の下)に梅干しのようなシワができるのも特徴的な症状です。

④叢生(そうせい)

叢生とは、歯が前後にデコボコと並んでいる状態や、ガタガタになっている歯並びのことをいいます。
乱杭歯(乱ぐい歯)とも言われます。歯列がデコボコになっているので、歯磨きをしても歯ブラシの先がちゃんと届かずに、虫歯や歯周病になりやすくなります。
八重歯もこの1つで叢生になります。

⑤開咬(かいこう)

開咬とは、奥の歯をかんでも、上と下の前歯が噛み合わずに隙間がある歯並びのことをいいます。
オープンバイトともいわれます。
隙間から舌を出してしまう癖(舌癖)があるのも特徴的な例です。
また奥の歯を噛んでも上下の前歯の間が開いているため、食べ物が前歯で噛めずに奥歯に負担がかかります。

⑥過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合とは、上の前歯の噛み合わせが深くて下の前歯がほとんど見えない状態の歯並びのことをいいます。
ディープバイトともいわれます。
深く噛んでいることで、前歯で食べ物が噛みきれなかったり、上の前歯の内側の歯ぐきに下の歯の前歯があってしまっていることがあります。

⑦交叉咬合(こうさこうごう)

交叉咬合とは、奥歯の噛み合わせが(左右どちらかに)ずれている。または、前歯の噛み合わせが何本か逆噛みになっていることをいいます。噛み合わせが横にずれているので正中(せいちゅう)があっていないことが多いです。

⑧正中離開(せいちゅうりかい)

正中離開とは、上の前歯の真ん中に隙間があって、文字のとおり正中(せいちゅう)が離れてしまっていることをいいます。
上の前歯の正中離開は、一番目立つ部分なので気になる方も多いです。
また、上唇小帯(じょうしんしょうたい)の影響で、隙間ができている場合もあります。

⑨空隙歯列(くうげきしれつ)

空隙歯列とは、全体の歯(上下)の歯と歯の合間にすきまがあることをいいます。
一般的には、すきっ歯と呼ばれています。
上の前歯にすきまがあるのは、正中離開。
歯全体にすきまがあるのを、空隙歯列といいます。
正中離開と同様に、歯にすきまがあるので食べ物がはさまりやすくなり虫歯や歯周病になりやすいです。また、すきまから空気が漏れてしまうので発音(サ行やタ行など)が言いづらい舌足らずな喋り方になることがあります。

⑩鋏状咬合(はさみじょうこうごう)

鋏状咬合とは、上と下の奥歯が噛み合っていない(すれ違っている)状態のことをいいます。
シザースバイトともいわれています。
鋏状咬合の場合、歯が外側や内側に大きく倒れていることが多く、頬っぺたを噛んでしまって口内炎になる方もいます。また、歯が倒れていることで歯磨きがしづらく虫歯や歯周病に注意が必要です。

まとめ

不正咬合には、様々な種類があります。

不正咬合を治療することで、正常な歯並びになり虫歯や歯周病を予防して健康な歯を将来多く残しておくことが必要だとおもいます。

学校での歯科健診や、かかりつけの歯科医で不正咬合といわれたら、矯正専門の医師がいる当院へ一度ご相談ください。

2023.07.07

どちらがおすすめ?マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正を徹底比較!

こんにちは。神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」です。

インビザラインとワイヤー矯正の模型を持って笑う女性

矯正治療を検討する際、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正のどちらがよいか悩む方も多いでしょう。矯正治療を選ぶ際はメリットだけでなく、デメリットや費用、治療期間など、さまざまなポイントを比較して検討することが重要です。

今回は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正をポイントごとに比較して解説します。それぞれの治療法がどんな人にあっているかもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

マウスピース型矯正装置、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とは?

マウスピースを両手に持ってはめる女性の口元

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とは、マウスピースを使って歯並びを整える矯正治療です。1日20〜22時間マウスピースを装着し、1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換して治療を進めます。

透明なマウスピースを使用するため、矯正治療中であることを他人に気づかれることは少ないでしょう。好きなタイミングで取り外しができるため、食事や歯磨きの際も負担なく過ごせます。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のマウスピースは、1枚で最大0.25mmしか歯を動かせません。マウスピースを何枚も交換して徐々に歯を動かす矯正治療なので、違和感や痛みが出にくいこともメリットのです。

ただし、患者様自身でマウスピースを管理しなければ、うまく治療が進みません。マウスピースの装着時間が20時間よりも短かったり適切な時期にマウスピースを交換していなかったりすると、理想的な歯並びにならない可能性があるのです。

また、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、歯並びの乱れが比較的軽度な場合に適した矯正治療のため、歯並びの乱れが重度なケースや抜歯が複数本必要なケースなどには対応できないことがあります。

ワイヤー矯正とは?

ワイヤー矯正の器具を装着した女性の口元

ワイヤー矯正とは、固定式の矯正装置を使って歯並びを整える矯正治療のことです。歯の表面にブラケットとよばれる装置を接着し、ブラケットにワイヤーを通して歯に力をかけ、歯並びを整えます。

ワイヤー矯正は、矯正治療の中で最も歴史のある治療法で、大学病院における専門教育も充実しており、世界中で行われている標準治療です。抜歯や外科処置が必要な難症例にも対応できるため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)よりも幅広い方が治療を受けられることがメリットです。

歯の表面に矯正装置を固定するので歯の1本1本に力がかかりやすく、歯並び全体を大きく動かせます。効率的に矯正できるため、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)よりも治療期間が短い場合もあるでしょう。

ただし、矯正装置は取り外せないため、食事の制限や歯磨きのしづらさを感じる方が非常に多いです。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正の比較表

?を比較する赤い服を着た女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正を比較して解説します。

<マウスピース型矯正装置(インビザライン※)とワイヤー矯正の比較>

矯正方法 マウスピース型矯正装置(インビザライン※) ワイヤー矯正
見た目 透明 金属
治療期間 部分矯正:2か月~1年以内
全体矯正:2~3年
部分矯正:3か月~1年
全体矯正:2~3年
費用 部分矯正:300,000~600,000円
全体矯正:600,000~1,100,000円
部分矯正:200,000~500,000円
全体矯正:600,000~1,500,000円
適応症例 対応できない場合がある 幅広い
食事制限 なし 一部あり
歯磨き マウスピースを外して行える 装置が固定式なので難しくなる

それぞれ詳しく解説します。

見た目

矯正治療中の見た目が気になる方には、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が適しているかもしれません。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では、薄く透明なマウスピースを使用します。

ワイヤー矯正の場合、歯の表面にブラケットやワイヤーを固定するため、目立ちやすいでしょう。ワイヤー矯正でも、歯の裏側に矯正装置を固定する舌側矯正を選べば目立ちにくくできるでしょう。

歯の表側に矯正装置を固定する方法でも、セラミックなどのブラケットやホワイトワイヤーを選べば、目立ちにくくできます。目立ちにくい素材や矯正方法を選ぶと、その分費用が高くなる傾向にあるので注意が必要です。

治療期間

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)もワイヤー矯正も、全体矯正にかかる期間は約2~3年と大差はありません。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、歯並びの乱れが軽度な場合に行う治療です。部分矯正や歯並びの乱れが軽度な場合、ワイヤー矯正よりも治療期間が短いかもしれません。

また、ワイヤー矯正は歯科医師による調整が必要なため、月に一度は通院しなければいけません。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は患者様自身で治療を進めるため、2か月に一度の頻度で通院するのが一般的です。

矯正治療にかかる期間は、矯正の種類だけでなくもともとの歯並びの状態に左右されます。実際にどのくらいの期間が必要になるか知りたい場合は、歯科医師に相談しましょう。

費用

矯正治療にかかる費用は、矯正方法だけでなく、部分矯正か全体矯正かによっても異なります。

ワイヤー矯正は、舌側矯正などの目立ちにくい方法を選ぶほど費用が高額になります。通常のワイヤー矯正の費用相場は600,000~1,100,000円でマウスピース型矯正装置(インビザライン※)と変わりませんが、目立ちにくい舌側矯正は1,000,000~1,500,000円ほどといわれています。

また、ワイヤー矯正でセラミックやジルコニアのブラケット、ホワイトワイヤーを選ぶと、その分追加で費用がかかるので注意が必要です。

ただし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、使用するマウスピースの枚数によって費用が変わります。マウスピースの追加や作り直しが必要になると、予定していた費用よりも高くなる可能性があるので注意しましょう。

適応症例

ワイヤー矯正は治療実績が豊富な矯正なので、抜歯や外科処置が必要になるケースなど、難しい症例にも対応できます。マウスピース型矯正装置と比較すると、幅広い方が治療を受けられることがメリットです。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、歯を水平移動させることが苦手なため、歯並びの乱れが重度なケースや歯の移動距離が長いケースには適しません。

ただし、抜歯が必要な歯並びでも、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)で治療できるケースもあります。どちらの矯正方法があっているかは歯並びの状態によって異なるので、一度歯科医院で相談しましょう。

食事制限

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)のマウスピースは、自分の好きなタイミングで取り外せます。マウスピースを取り外して食事できるため、食事制限はありません。矯正治療中でありながら、ふだんどおり食事を楽しめるでしょう。

ワイヤー矯正は固定式の矯正装置なので、装置が外れる可能性がある食べ物を避けなければいけません。ガムやキャラメルなどの粘着性があるものは避けてください。また、繊維質の野菜やキノコ類、細い麺類などは、矯正装置に挟まりやすいため注意が必要です。

歯磨きのしやすさ

ワイヤー矯正は、矯正装置を取り外せないため、歯磨きがしづらく虫歯や歯周病のリスクが高くなります。特に、歯と歯の間は歯ブラシが入りにくいため、歯間ブラシやタフトブラシを使用して磨きましょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、ワイヤー矯正と比較すると歯磨きしやすいといえます。ふだんどおり歯を磨けるため、虫歯や歯周病のリスクが低く、清潔な口内を保てるでしょう。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)がおすすめの人

インビザラインを2つもってハートのようにする女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)を選択する傾向にあるのは、以下の特徴がある方です。

・矯正治療中の見た目が気になる人

・人前で話す機会が多い人

・通院回数を少なくしたい人

・自己管理ができる人

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では透明なマウスピースを使用するため、矯正治療中であることが周囲に気づかれにくいです。自分の好きなタイミングでマウスピースを取り外せるため、見た目が気になる人に選ばれています。人前に立つ機会が多い職業や接客業に従事する人も治療を受けています。

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)では1日20〜22時間マウスピースを装着し、1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換することで治療を進めます。患者様ご自身がマウスピースを管理するため通院回数が少ないメリットがありますが、マウスピースの装着時間や交換時期を守れなければ理想的な歯並びになりません。

マウスピースをしっかりと自己管理できる人は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)が向いているかもしれません。

ワイヤー矯正がおすすめの人

ワイヤー矯正の装置を調整してもらう女性

ワイヤー矯正を選択する傾向にあるのは、以下の特徴がある方です。

・歯並びの乱れが重度な人

・抜歯が必要な人

・歯科医師の判断で治療を進めてほしい人

・自己管理が苦手な人

ワイヤー矯正は、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)よりも幅広い症例に対応できます。ガタガタした歯並びや出っ歯だけでなく、抜歯や外科処置が必要な難しい症例にも対応できることがメリットです。マウスピース型矯正装置(インビザライン※)での治療が難しい歯並びの人は、ワイヤー矯正を選択する傾向があります。

ワイヤー矯正は、治療の経過を診ながら歯科医師の判断によって歯並びを整えます。治療の過程で自己管理の必要はありますが、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)ほどではありません。自己管理の負担を軽くしたい人に選ばれています。

まとめ

歯科医院で鏡で自分の歯並びを確認して笑う女性

マウスピース型矯正装置(インビザライン※)は、透明なマウスピースを使用しているため、矯正治療を受けていることが目立たないことが最大のメリットです。好きなときに取り外せるため、食事や歯磨きをふだんどおり行えることもメリットでしょう。

しかし、マウスピースの管理ができないとうまく治療が進まない、治療できない歯並びがあるなどのデメリットが存在します。

ワイヤー矯正は、歯に矯正装置を固定して歯並びを整える方法です。1本1本の歯に力がかかりやすいため、重度の歯並びの乱れや抜歯が必要な症例など、幅広い方が治療を受けられます。

ただし、マウスピース型矯正装置(インビザライン※)と比較すると、矯正装置が目立つなどのデメリットがあります。矯正方法を選ぶ際は、メリットやデメリット、必要な費用、治療にかかる期間などを比較して検討しましょう。

歯科矯正を検討されている方は、神戸市垂水区にある歯医者「ふじよし矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。

※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

2023.06.30

Ⅰ期治療とⅡ期治療

子どもの歯列矯正(混合歯列)には、成長を利用して土台となる顎の骨の形を整える〝Ⅰ期治療 〟と
永久歯(大人の歯)が生えそろってから歯をきれいに並べる〝Ⅱ期治療 〟 の2種類に分類されます。

混合歯列とは、お口の中に乳歯(子どもの歯)と永久歯(大人の歯)の両方が生えていることです。
年齢でいうと6歳~12歳頃の学童期が目安となります。

Ⅰ期治療とは

子どもの成長を利用して、装置などを使用して上下の顎の骨のバランスや形を整えて成長を促し、永久歯が生えてくるためのスペースを作ります。

Ⅱ期治療とは

永久歯が生えそろったら、歯を動かして歯並びや噛み合わせを整えます。

○ Ⅰ期治療 ○

Ⅰ期治療では、専用の装置を使って顎の骨の拡大や牽引で方向の調整などを行い、上下のバランスを整え、永久歯が生えてくるためのスペースを作るための土台作りをします。
この土台作りを行うことにより、永久歯が重なりあったりすることや、噛み合わせが悪くなるリスクが下がります。

Ⅰ期治療を始める目安

Ⅰ期治療は早くから始めれば始めるほど良いというわけではありません。
場合によってはⅡ期治療のタイミングを待って、矯正治療を開始することをおすすめする方もいます。
お子様にⅠ期治療が必要なのか、始め時なのか、判断は難しいかと思います。
また症状によっては、早く治療を開始した方が良い場合もあります。なので、気になる方は一度専門医に相談をしてみることをおすすめします。
詳しい治療方針等は精密検査を行ってみないと分からないですが、似た症例をもとにお話しを伝えることは可能なので是非一度ご相談下さい。

Ⅰ期治療の期間

Ⅰ期治療の治療期間はお子様により異なりますが、当院の目安としましては12歳臼歯(第2大臼歯)が萌出する頃を目安としています。

Ⅰ期治療で使われる矯正装置

お子様の症状に合わせて、お友達から見えないような固定式装置(取り外しできない)やお家で使う取り外し式装置(学校や外出の時はつけなくても良い)などを使います。
当院ではこの頃の時期にブラケットを使用した治療を行うことは、あまりありません。

Ⅰ期治療のメリットとデメリットについて

メリット

・成長を利用することができる!
・成長を利用して顎の骨の発育方向をコントロールしたり、顎を広げることができる!
・永久歯が重なり合ったり、噛み合わせが悪くなるリスクが下がる!
・歯並びのほかにも、正しい舌の位置や使い方などの訓練ができる!
・悪い癖(口呼吸や指しゃぶり)に気付きやすく、改善しやすい!

デメリット

・固定式装置(取り外しができない)の場合、歯磨きがしづらくなる。
そして、磨き残しのままの状態が続くと虫歯や歯肉炎を起こしてしまう可能性がある。
・取り外し式装置の場合、本人の協力が必要なので積極的に装置を
使用していただかないと効果が出ない。
・装置によっては本人だけでなく、保護者の方に協力していただく必要がある。
・Ⅰ期矯正の適応時期に達していても、お子さまの発育状態によっては開始時期を
遅らせる場合もある。

○Ⅱ期治療 ○

Ⅱ期治療とは、永久歯が生え揃った頃から行う矯正で、成人矯正と同じになります。
この時期になると顎骨の成長にある程度の目途がついているため、
永久歯の抜歯をせずに歯並びを整えることができる可能性が高くなります。

Ⅱ期治療を始める目安

12歳臼歯(第2大臼歯)が生えてくる頃が目安となります。
お子様により成長のスピードが異なりますが大体は12歳の頃に生えてきます。

Ⅱ期治療の期間

Ⅱ期治療の治療期間は症状により異なりますが、3年程度を見込んでいます。

Ⅱ期治療で使われる矯正装置

マウスピース型矯正装置

マウスピース型の矯正装置を使って歯並びを改善していく方法です。
透明なマウスピースを使用するので装置が目立ちにくいです。
また、自分で取り外しができるのでワイヤー矯正に比べて食事や歯磨きが行いやすくなります。
当院ではインビザラインを使用しています。
自分で取り外しが可能なため、患者様の協力度が必須となります。
決められた時間は使用していただかなければ効果がでず、さらに悪化してしまうケースもあります。

*完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

マルチブラケット治療

歯にブラケットを装着し、そこにワイヤーを通して歯を動かしていきます。
当院では小臼歯まで白いブラケットを追加費用無しで使用しているので、金属の装置より目立ちにくい見た目になります。
白いワイヤーもあるので、お選びいただくことも可能です。

部分矯正

歯並び全体ではなく、前歯や噛み合わせなど気になる部分の歯並びだけを整える方法になります。
通常の矯正治療と比べて、短期間・低価格で受けることができます。ですが、症状によっては部分のみの矯正が行えない場合もあります。

Ⅱ期治療のメリットとデメリットについて

メリット

・まず、Ⅱ期治療とはⅠ期治療を行っていることが前提となります。
なので、成人から始める矯正治療に比べて顎の骨の土台作りができているため、抜歯の可能性が低くなります!
・嚙み合わせが悪化する事を防ぐことができる!
・将来大人になってから矯正治療をしなくてもよい!
・歯並びが良くなることで歯磨きが行いやすくなるため、むし歯予防・歯周病予防にもつながる。
・しっかり噛み合うことで、食事が食べやすくなる。

デメリット

・選択する装置によっては、見た目が悪くなってしまう。
・症状によっては、Ⅱ期治療まで行っても外科手術が必要になることもある。

Ⅰ期治療とⅡ期治療の関係

基本的に、「Ⅰ期治療では顎の骨の土台作り、Ⅱ期治療では歯をきれいに並べる」という流れになるので、Ⅰ期治療とⅡ期治療はセットとしてお考えいただいた方が良いです。

 

2023.06.23

大人の矯正について

いつから始めればいいの?大人の矯正治療

「矯正治療はいつ始めればいいんですか?」「大人になってからでも矯正治療は間に合うんでしょうか?」など、矯正治療の始めるタイミングについての質問がよく寄せられます。
矯正治療は子どもが行うイメージがあると思います。
「大人から矯正治療を始めることはできるの?」と不安に感じている方も多いと思いますが、大人の方でも矯正を始める方が増えてきています。
今回は大人の矯正について、治療の開始時期・治療方法(種類)・メリット・デメリットについてお話していきたいと思います。

治療の開始時期は?

「大人から歯科矯正を始めるのは遅いのかな」と思っている方はいると思いますが、歯科矯正に年齢の制限はありません。ガタガタの歯を治したい方や歯ならびをきれいにして口元の印象を良くするためや虫歯・歯周病の予防のために矯正を始めている方も大勢います。
人と日常的に話す職業の方や、矯正装置が目立って気になるという方でも、透明のマウスピース型の矯正装置など「目立たない矯正装置」を使って矯正することもできます。
まずは、歯並びでお悩みの方は気軽にふじよし矯正クリニックにご相談ください。
矯正治療は見た目だけでなく、歯の健康を維持するうえでも大切な治療です。
歯並びをきれいに整えるためにも、大切な歯を病気から守るためにも、矯正治療を一度ご検討ください。

矯正治療の種類

マルチブラケット装置を用いた矯正(以下ワイヤー矯正)

もっとも一般的な矯正治療方法になります。歯の表面にブラケットを装着し、そこにワイヤーを通して歯を動かします。ワイヤー矯正といえば、銀色の金属製のブラケットに銀色のワイヤーのイメージがあると思いますが、当院では、前歯から小臼歯までを透明のプラスチック製のブラケットを使用しています。ワイヤーも銀色と白色のワイヤーがあります。
白いワイヤーとは、銀色のワイヤーの表面を白色にコーティングした目立たないワイヤーになっています。

メリット

・適応する範囲が広い
マウスピース型矯正装置を用いた矯正治療(以下マウスピース矯正)と比べて適応する幅が広く、マウスピース矯正では難しい症例でもワイヤー矯正では治療できる可能性があります。

・細かい調整ができる
マウスピース矯正と比べて細かい調整をすることで効率よく歯を動かすことができます。

・取り外す手間がない
ワイヤー矯正はマウスピース矯正と違って常に歯に装置がついているので、取り外すという行為がないため、装置を無くすこともありません。

デメリット

・装置が目立ちやすい
マウスピース矯正や歯の裏側に装置を付ける舌側矯正に比べて、歯の表面にブラケットやワイヤーを付けるため目立ちやすくなってしまいます。

・虫歯や歯周病になるリスクが高まる
ワイヤー矯正は取り外せないので、どうしても歯ブラシの毛先が届かず装置の周辺に汚れが溜まりやすくなってしまいます。汚れが残っていると虫歯や歯周病のリスクが高くなるので、歯ブラシ以外にブラケット周りやワイヤーの下など汚れが溜まりやすいところは、ワンタフトブラシや歯間ブラシを使用し、丁寧に磨いたり、定期的なメインテナンスを受診することが大切です。

・痛みがある

口の中に矯正装置が入り、歯が動き始めると痛みを感じます。
痛みは個人差がありますが、3日から1週間くらいで治まります。

・装置が外れることがある
ワイヤー矯正は固定式ですが、くいしばりや歯ぎしり、粘着性のある食べ物や硬い食べ物などを食べると装置が外れてしまう可能性があります。
装置が外れて付け直すのを後回しにしてしまうと、その部分だけ矯正力が加わらず、後戻りや歯の動きが遅くなり、矯正治療期間が長引いてしまいます。
装置が外れた場合は、付け直しが必要になりますので、早めのご連絡をお勧めします。

・高価
白いワイヤーは、通常の金属のワイヤーに白いコーティングをしているため、金属のワイヤーよりも価格が高くなっています。

マウスピース矯正

マウスピース矯正は、薄く透明なカスタムメイドで作られたマウスピースを一定時間装着することによって、歯を動かして歯並びを治す矯正治療です。
当院では、マウスピース型矯正装置(インビザライン)を導入しています。

インビザラインとは、1997年にアメリカのアライン・テクノロジー社によって開発された薄く透明なマウスピース型矯正装置です。
1日22時間装着することが必須で、1週間から2週間に1回のペースでマウスピースを交換することで、歯を動かしていきます。

*完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

メリット

・目立ちにくい
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べて目立ちません。矯正治療をしたくても目立つ矯正装置に気が進まず一歩踏み出せなかった方も、マウスピース矯正ならやってみたいと希望される方もいます。

・取り外しができる

マウスピース矯正は、食事と歯磨きの時は装置を取り外すことができます。取り外せることにより、歯磨きが治療開始前と同じようにできます。
しかし、装置を取り外せるということはメリットでもありデメリットにもなり得ます。
ワイヤー矯正の場合、24時間365日歯に矯正力が加わるため、しっかり通院していただければ治療は進みます。
マウスピース矯正の場合は、取り外すことはできますが、マウスピースを装着しなければ治療が進みません。装着時間は1日24時間以上の装着が必要になります。食事後すぐに歯磨きをしてマウスピースを装着すれば問題はありませんが、だらだら食いや装着時間を守らなければ、治療計画通りに歯は動かず、マウスピースが適合しなくなってしまいます。
その結果、治療期間が長引いてしまいますので、マウスピースの装着時間をしっかり守ることが重要になります。

・清掃性がよい

マウスピース矯正は取り外すことができるので、歯磨きが通常通り行うことができます。
ワイヤー矯正では、装置を外すことはできないので、装置の周りを磨くのに時間がかかってしまいます。その結果、歯磨きの困難さが虫歯のリスクを高めてしまいます。
しかし、マウスピース矯正では歯ブラシやフロス、歯間ブラシなどを使用することができます。治療中に歯が動くと歯と歯の間に隙間ができ、今まで挟まらなかったところに食べ物が挟まります。このような場合でも、フロスや歯間ブラシを使用することができるので、虫歯のリスクを抑えることができます。

・金属アレルギーの方でもできる
マウスピース型矯正装置は金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がありません。

デメリット

・歯並びによっては対応できない場合がある
患者様の歯並びによっては、マウスピース矯正のみでは治療できないケースがあります。

・患者様自身がマウスピースを管理しなければならない
マウスピース矯正は決められた時間や交換する期間などを守らなければ、歯は動かずマウスピースが合わなくなってしまいます。
また、マウスピースを紛失・破損したというトラブルも多くあります。
自宅でマウスピースをティッシュに包んでいると間違えて捨てられてしまったり、飼い犬に噛まれて破損してしまう、さらに外出中や旅行中に紛失するケースもあります。
マウスピースを紛失・破損してしまった場合は、再製作する必要があるので、その分治療期間が長引いてしまいます。
このような自宅・外出・旅行など、さまざまな紛失・破損の原因になる場所や状況が多くありますので、十分に注意していただき、マウスピースを外した際はすぐに専用のケースに入れる癖をつけることが重要です。

・装着中の水以外の飲食ができない

マウスピースを装着しているときは、飲食は原則できません。
マウスピースを装着して食事をすると、マウスピースの中に汚れが溜まって虫歯になるリスクが高まります。また飲み物も制限されます。水分は水で摂ることをお勧めします。

砂糖が入っている飲み物や砂糖の入っていない炭酸飲料も口の中を酸性にするので、虫歯のリスクを高めます。砂糖の入っていないお茶は虫歯のリスクを高めることはありませんが、マウスピースに茶渋や汚れが付きやすくなります。その他、コーヒーや紅茶などの色の濃い飲み物はマウスピースに着色がついてしまうので、装置をつけているときは水のみになります。
水以外を飲まれる際は、マウスピースを外してから飲むようお願いします。
飲んだ後は、歯磨きやお口をゆすぐなどをしてからマウスピースを装着することが大切です。

2023.06.16

口腔筋機能療法(MFT)とは

普段皆さんは、舌の位置を気にしていますか?正しい舌の位置ってどこか知っていますか?
実は舌にはちゃんと正しい位置があります。
この舌の位置が、歯列矯正治療ではとても重要なことなのです。歯の並びや噛み合わせが悪い方は正しいところに舌をおいていない、舌の癖があるなどで歯列に悪い影響を与えていることが多いです。
今回は、口腔筋機能療法(MFT)とは何か、正しい舌の位置の確認、舌の位置が悪いとなぜ歯並びに影響がでるかお話していきます。

口腔筋機能療法(MFT)とは

MFTは、「Myofunctional Therapy」の略称で、口腔筋機能療法ともいいます。
(以下 MFT といいます)
MFTとは、お口の周りの筋肉を正しい動きに改善をすることによって、歯並びと舌の癖を治していくトレーニングのことをいいます。
MFTの目的は、食べる(咀嚼)、飲む(嚥下)、発音、リラックスしているときの呼吸のときの舌や口唇の正しい位置への改善をし、MFTを行っていくことで口腔周囲(お口の周り)の筋肉のバランスを正常に整えて、悪い癖を治していくことです。
皆さんの歯は、お口の中からは舌の圧力がかかり、外からは頬や唇などの筋力の圧力がかかっています。このお口回りの筋力の圧力や舌の圧力のバランスを正常に整えておかないと、歯列矯正治療が終わっても後戻りをしてしまいます。

お口の中での正しい舌の位置

今、みなさんの舌の位置はどこにありますか?そう改めて聞かれると、「ん?どこ?舌の位置?意識したことがない」って方が多いのではないでしょうか。テレビやスマホを見ているとき、読書をしているとき、など飲食をしていないリラックスしているときの舌の場所がいつものご自身の位置になります。
では一度、一緒に確認してみましょう。
まず、軽く唇を閉じてください、そのままつばを一回飲みこんでみてください。
飲みこんだ時に舌はどこにありましたか?

①舌は上の顎にぴったりとくっついている
②舌の先が上の前歯の歯の裏側にあたっている
③舌の先が下の前歯の歯の裏側にあたっている
④舌がお口の中のどこにもあたっていない

正しい舌の位置は、「①の舌は上の顎にぴったりくっついている」です。
他のところに舌がある場合、それは舌の正しい位置ではないのです。
正しい位置に置くポイントは、舌の先をスポットにおく!です。

スポットとは

スポットとは、舌を正しいところに置く位置のことをいいます。上の写真のように、舌の先が上の前歯の裏側の少しくぼみがあるところがスポットの場所です(緑の枠)。前歯の裏ではないので間違えないようにしてください。
日中、食べているとき飲み物を飲んでいるときと、話しているとき以外は、ここのスポットに舌の先があるのが正常な舌の位置になります。つばを飲みこんだときに、①以外だった方はぜひ意識してこのスポットに舌先をつけてみてください。唇を軽く閉じて、舌の先をスポットにつけ、舌全体を上の顎に吸い付けるようにつけてください。このとき、必ず口呼吸ではなくお鼻で呼吸をしてください。
どうですか?慣れていないと30秒ほどつけたままにするだけでかなり舌が疲れるかもしれません。疲れるという方は、普段正しいところに舌をおけていないということです。舌は筋肉でできているので、慣れないことをすると疲れますが、舌の悪い癖を治しておくのも歯列矯正治療ではとても必要になります。

舌の位置が悪いとどんな影響がある?

正しい舌の位置のお話はしましたので、次は、間違った位置に舌がある場合はどんな悪影響があるのかお話しします。

①歯の並びが悪くなる

舌の先が、上の前歯や下の前歯など、歯の裏側を無意識にずっと押しているような舌の癖があれば、歯の並びが悪くなります。これを、舌癖(ぜつへき)といいます。人は食べるとき(咀嚼)、飲みこむとき(嚥下)に一日に何百回~何千回も舌を無意識に動かしています。

睡眠中も、つばを飲みこんでいるので舌は自分で思っているよりも一日中動いているのです。先にも話したように、舌は筋肉でできています。筋肉は縮むときより伸ばすときのほうが力が強くなりますので、その力で普段から一日中、歯と歯の間に舌をいれてしまっていたり、の前歯や下の前歯の裏を押していると舌の圧力に負けて歯の並びは崩れてしまいます。

②口呼吸になってしまう

お口を閉じてお鼻でちゃんと呼吸できていますか?ふだん、テレビを見ているときや本を読んでいるときなどリラックスしているときや、寝ているときはお鼻で呼吸する鼻呼吸になっていないと体に悪影響がでます。歯の並びが悪いかたは、アレルギー性鼻炎や花粉症などのお鼻の疾患があることが多くお鼻が詰まりやすいため、鼻呼吸ができずに口で呼吸してしまう口呼吸になってしまいます。日常的に口呼吸のままだと、お口が常に開いていることになり舌が下がってしまい、お口の周りの筋肉も弱くなってしまい正しい飲みこみ(嚥下)ができなくなってしまいます。

また、お口が開いたままだと唾液の量も減ってしまいお口の中が乾燥してドライマウスになります。ドライマウスになると虫歯や歯周病になりやすくなるほか、乾いた口から細菌がはいり風邪をひきやすくなったりもします。口呼吸は、歯並び以外にも悪影響を及ぼすことがあるため、普段から意識して鼻呼吸が出来るようにしてください。

③発音や滑舌が悪くなる

人は話すときに、舌とお口の周りの筋肉をつかって言葉を発します。舌が正しい位置にない、舌癖などがあると話すときに舌をちゃんと使えずお口の周りの筋肉も弱ってしまいます。お口の周りの筋肉が低下してしまうと、発音や滑舌に影響がでてしまいます。とくに、サ行・タ行・ラ行の発音が舌足らずな話し方になるので、MFTでしっかり訓練して治していきましょう。

④歯列矯正治療後に後戻りをしてしまう

治療前の歯並びに戻ってしますことを、矯正歯科では「後戻り」といいます。
歯列矯正治療が終わったあと、歯並びと噛み合わせを治しても舌癖があると後戻りという歯並びが崩れてしまうことの原因になってしまいます。後戻りをしないように、舌の悪い癖がある方は、歯列矯正治療をしながらMFTも一緒にします。しっかり舌癖を治すことで、後戻りをふせぐことができます。

最後に、テレビやスマホを見ているとき、読書をしているとき、など飲食をしていないリラックスしているときのお口の周りの状態は、
・唇は軽く閉じている
・舌の先はスッポトについている
・鼻呼吸をしている
・上と下の奥歯が軽く離れている
この4つを普段から習慣づけるようにしていただければと思います。

ふじよし矯正歯科クリニックでは、舌の癖がある患者様には、歯列矯正治療と同時にMFTのトレーニングをしております。同時にすることで、治療をスムーズにし、歯列矯正後の後戻りを防ぎます。トレーニングの方法はたくさんありますので、患者様にあった段階からのトレーニングの用紙をお渡ししています。すぐに改善されるのは難しいかもしれませんが、目につくところに貼って毎日の習慣にしていただきたいです。毎日練習することで、自然と舌が正しい位置に維持できるようになります。

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